やれやれ。
地震の被害だんだん詳しくわかってきたけど
言葉もないね・・・。
あれが北海道だったらって思うと、
ぞっとするXXX
歴史のある古い土地柄だけど、
道路が所々寸断されて
車両が乗り入れられないとかって
いろいろ課題が見えてきてるようだけど、
ここ何年も大きな災害が続いてるから、
インフラしっかり整備していかなきゃなんないんだろうね。。
全国で考えたら、
時間も人手もかかるよなぁ・・・。
でもしっかりやんなきゃね。。
やれやれ。
地震の被害だんだん詳しくわかってきたけど
言葉もないね・・・。
あれが北海道だったらって思うと、
ぞっとするXXX
歴史のある古い土地柄だけど、
道路が所々寸断されて
車両が乗り入れられないとかって
いろいろ課題が見えてきてるようだけど、
ここ何年も大きな災害が続いてるから、
インフラしっかり整備していかなきゃなんないんだろうね。。
全国で考えたら、
時間も人手もかかるよなぁ・・・。
でもしっかりやんなきゃね。。
と、カルンをまぶしそうに見上げるグレイは、ひょいと屈んで底にある土をひと掬いすると、高く掲げて言った。「ほら。これって、なんだと思う」
「――」と、グレイの手の中にある黒い土を見て、カルンは言葉を飲みこんだ。
「そうだよ。これは水だよ。街のみんなが欲しがっていた水だよ」と、グレイは言った。「水は、未来にあるんじゃないんだ。現実に、いまここあるんだよ」
と、カルンの目が、わずかに恐怖の色を浮かべた。
「あなた、その手、どうしたの」
言われたグレイは、はっとして自分の手を見た。黒く水を含んでいたと思っていた土は、グレイの裂けた指先から流れ出た血も、多く含んでいた。
「どうしたんだろう」と、グレイは不安に駆られて言った。「こんなはずじゃないのに。怪我するなんて、どうしちゃったのかな……」
「そんなの、当たり前じゃない――」と、カルンは溝の中に体を覗きこませると、手を伸ばした。
グレイは、赤黒く腫れた手をわずかに伸ばしかけたものの、すぐに引っこめ、ひょいと跳び上がって、溝の外に出てきた。
「そんな小さなシャベルだけで地面を掘るなんて、どういうつもりだったの」
と、小屋に戻って薬箱を抱えてきたカルンは言った。「指も爪も、裂けちゃってるのよ。痛かったはずなのに、地面を掘れば水が出てくるって、本気で思ったの?」
カルンが裂けた指先をそっと布でくるんでくれるのを見ながら、グレイは反省したように言った。
「足元の地面を掘ったら、水が出てきたんだ。それで、夢中になって掘ったんだけど、どこまで掘り進んでも、水が出てこないんだ」
「――」と、カルンはため息を漏らした。「魔女がいくら頑張っても、水は出てこなかったって、言ったでしょ」
「でも、カルンだって、その眼で見たでしょ」と、グレイは言った。「間違いなく水があるんだよ。もう少し掘れば、必ず、みんなが欲しがっている水が出てくるんだよ」
「――」と、カルンは黙って立ちあがると、うつむいたまま背中を向けて、立ち去っていった。
一人残されたグレイは、血のにじんだ指先を見て、ようやく、じんじんとした痛みを覚えた。
力まかせに地面を掘っても、水が出てくるはずがなかった。いろいろな知識を持った魔女があきらめたのには、理由があるはずだった。しかし、それがどんな理由なのか、カルンにも、街の人達にも、わかるはずがなかった。魔女は、理由も告げず、この街を去って行った。
その理由がなんなのか。地面を掘り続けるしか、グレイにはほかに答えを見つける手段がなかった。
「水がなくなったなんて、嘘ばっかり」
グレイが掘った穴の底は、わずかではあるが、芥子色の土が黒っぽく変わり、地下に水があることを示していた。
「水が欲しいなら、水が出る場所を掘ればいいんだ」と、グレイは言った。「なにもしないのに、欲しいものが手に入るはずないんだ」
壁の破れた物置小屋で片手持ちのシャベルを見つけたグレイは、誰の物かわからないシャベルを借りることにして持ち帰り、地面を掘りかけた場所に戻ってきた。
「――よしっ」
と、グレイはうなずくと、さらに深く、地面を掘り進めていった。
その時から、街には地面を掘り続けるシャベルと土の音が、延々と聞こえ続けた。
日が暮れても、日が昇っても、途切れることなく、地面に突き刺さるシャベルの音が、
カッツン。カッシャン。カッツツン……。
日が暮れても、日が昇っても、途切れることなく、地面に落ちる重い土の音が、
バッフ。バフフッ。バッフフ……。
と、互いが一定のリズムを刻むように、鳴り続けた。
建物の中に籠もったまま、未来の木の実が成るのをじっと待っていた人々も、いつまでも聞こえている奇妙な音に、ようやく気がつき始めた。
ある人は夜陰にまぎれ、またある人は未来の成る木を植えた鉢を抱えたまま、様子をうかがいにやって来た。
街はずれの道の真ん中に、人の背丈は優にありそうな深い溝が、砂漠に向かって掘られていた。
その溝の先端に、誰か1人、無我夢中で土を掘っている人間がいた。
掘られた土砂を被り、黒く汚れた背中を見た人々は、声にならない悲鳴を上げ、やって来た建物の中に逃げこんで、ブルブルと恐さに打ち震えていた。
と、相変わらず溝を掘り続けているグレイに、話しかけてきた人がいた。
「あなただったの」
と、カルンは溝の端から中を覗きこみ、真っ黒く汚れているグレイに言った。「もうとっくに帰ったと思ってたのに。どうして、こんなことをするの。せっかくの道が、壊れちゃってるじゃない」
「――見て」