やれやれ。
休み前だってのに
日曜日は大荒れの天気だってさ・・・。
ここんところ週末ってば天気が悪くって、
朝から雪かきは必須だし
なんか休んだ気しないんだよねぇ・・・。
買い物行かなきゃならんから、
その間だけでも晴れてくれりゃいいんだけどさXXX
はぁ。
窓から見えてるのは頭にくるほど降ってくる雪ばっかだし、
なんかモチベーション下がるよなぁ。
ため息しか出んわ・・・。
やれやれ。
休み前だってのに
日曜日は大荒れの天気だってさ・・・。
ここんところ週末ってば天気が悪くって、
朝から雪かきは必須だし
なんか休んだ気しないんだよねぇ・・・。
買い物行かなきゃならんから、
その間だけでも晴れてくれりゃいいんだけどさXXX
はぁ。
窓から見えてるのは頭にくるほど降ってくる雪ばっかだし、
なんかモチベーション下がるよなぁ。
ため息しか出んわ・・・。
「ごめんなさいね」
と、ポットは言い過ぎたと思ったのか、困ったように顔を赤らめて言った。
「――いいえ。朝早かったせいか、こんな格好のまま、つい失礼なことを言ってしまいました」
「ぐずぐずしてはいられないわ」と、アレッタは席を立つと、手近な扉の正面に立って言った。「――すぐに帰ってくるから、お茶の用意をしておいてね」
ポットはうなずくと、
「行ってらっしゃいませ」
と、深々とお辞儀をして、扉を開けて中に入っていったアレッタを見送った。
「――ここじゃなかった」
と、出かけていったばかりのアレッタの声が聞こえて、着替えも早々に台所に向かっていたポットは、あわてて扉の部屋に戻った。
「魔女様、お早いお帰りで」と、扉の部屋に戻ったポットは、首をかしげて言った。「――扉の魔女様? どちらですか」
アレッタの声は間違いなく聞こえたのに、扉の部屋には誰もいなかった。部屋にある扉達もなにもささやかず、ただ黙っているだけだった。
「気のせい、ですよね」
と、ポットは扉を閉めて、また台所に戻っていった。
「――ここじゃなかった。こっちでもない――。もう、困っちゃったわ。『夢の扉』だったら、入口はひとつなのに。はぁ、やっぱり。ここでもないわね」
台所でお湯を沸かしていたポットは、出てきたばかりの扉の部屋から、アレッタの声が今度もまた間違いなく聞こえてくるのに気がついた。
「まったく。落ち着きのない魔女様だ」
と、ポットは空のポットを持ったまま、扉の部屋を再び開けた。
「――ここじゃなかった。こっちでもない――。ここでもないわね」
ポットが扉の部屋に入ると、あわてた様子のアレッタが、いくつあるのか数えるのが面倒になるほど多くの扉を、片っ端から開けては出入りするのを繰り返していた。
「魔女様、まだ出かけていらっしゃらないんですか――」と、ポットは困ったように言った。「本当にお茶を飲まれるんですよね」
「ごめんなさい」と、息を切らせながらアレッタは言った。「扉と扉の間にある場所につながってる扉が、見つからないのよ」
「本当に作ったんですか?」と、ポットは疑うように言った。「あまりに多くの扉を作りすぎて、勘違いしちゃってるのかも――」
「ポット君」と、アレッタは困ったように言った。「君は、いつからこの家に住んでるんだっけ」
と、ポットはじっと考えて、両手の指を折って数えもしたが、難しい顔を上げると言った。
「私がいつからこの家にいるか、扉の魔女様はご存じですか?」
「――」と、アレッタも宙に目を向けて考えたが、あきらめたように言った。「もうずいぶんになるわよね。そういえば」
「はい」と、ポットはうれしそうに言った。
「私が作ったこの扉達は、行き先こそみんなばらばらなんだけど、互いがつながっているの」と、アレッタは言った。「扉のこっち側と向こう側はほとんど距離なんかないんだけれど、遠く離れたところへ行こうとすると、どうしても距離が長くなるから、どこにでもつながっている空間をひとつ作って、扉はその空間を行き来するための出入り口なの」
「はい。とってもよくわかります」と、言ってうなずくポットの目は、きらきらと輝いていた。
「だからね」と、アレッタはひとつ咳払いをすると、ゆっくりと言った。「いくつもある扉だけど、その裏ではひとつの場所につながっているだけだから、生きている扉同士、互いに言葉を交わすこともできるの」
「――扉の魔女様。もしかして、どちらに行かれるんですか」と、ポットは急に心配になって言った。
「助けを求めた扉のところに行かなくっちゃ」と、アレッタは椅子に座ったまま、すっと体を起こして言った。「なにが起こっているのか、確かめないと。この国だって、巻きこまれるかもしれないもの……」
と、ポットは部屋中にある扉を見回すと、首をかしげながら言った。
「どの扉から、出かけるおつもりですか」
「――」と、アレッタは目を宙にさまよわせると、とぼけたように言った。「これだけ扉があるんですもの。どれかは、助けを求めた扉につながっているはずよ」
「いいですか、扉の魔女様」と、ポットは困ったように言った。「だから言ったんです。国中のおいしいものが食べたいからって、近道ができる扉を作りすぎてるんです。しかも、どの扉がどこにつながっているか、表札のひとつも書かれていないんですよ。これじゃ、助けを求めている扉を余計に苦しませるだけです」
「きびしいのね、ポット君は」と、アレッタは反省したように言った。「――でも、おいしい物には目がないんだもの。どうしても、近道をする扉は必要なのよ」
「それはいい訳ですよね」と、ポットは怒ったように言った。「おいしいものを食べに行ってきた後はお茶が飲みたくなるからって、ポットだった私を魔法で変身させてくれたことには感謝していますが、せっかく入れた熱いお茶が冷めてしまわないようにと思って、扉の向こうにお声をかけさせていただいても、毎回どの扉を開ければいいのか、まったくわからないので非常に困っているんです」
アレッタは、遠くを見るようにポットの話を聞いていたが、話が終わると向き直って言った。