やれやれ。
土曜日の夜から日曜日にかけて
大雪・・・。
覚悟はしてたけど、
休みの日の朝から雪かきって、
最悪だった・・・。
おまけに、
車のセンサーの不調ってば、
再起動で直ったと思ったのに、
またぞろチカチカ警告灯が点滅して
今度はなんか直りそうにない感じ・・・。
さらにおまけに
運転中にガム噛んでたら
虫歯の詰め物がとれてやがるし・・・。
歯医者まで行かなきゃならない羽目になるなんて、
今年に入ってからまるでいいことなんかなしXXX
最悪。。
やれやれ。
土曜日の夜から日曜日にかけて
大雪・・・。
覚悟はしてたけど、
休みの日の朝から雪かきって、
最悪だった・・・。
おまけに、
車のセンサーの不調ってば、
再起動で直ったと思ったのに、
またぞろチカチカ警告灯が点滅して
今度はなんか直りそうにない感じ・・・。
さらにおまけに
運転中にガム噛んでたら
虫歯の詰め物がとれてやがるし・・・。
歯医者まで行かなきゃならない羽目になるなんて、
今年に入ってからまるでいいことなんかなしXXX
最悪。。
「あなた達の勝手になんて、させないいんだから――」と、アレッタは『夢の扉』の中に広がっている足下のおぼつかない空間になんとか踏みとどまり、新しく扉を作るための呪文を唱え始めた。
――……。
と、アレッタの唱える呪文と、二枚の扉の重なり合う声がこだましあった。
人が通れるほど大きく開いた扉は、一心に助けを求める彼女達を、いまにも扉の中に招き入れ、彼らが選んだ先に移動させようとしていた。
アレッタが作ろうとしていた扉は、その外観こそ宙に描き出されていたが、扉となって姿を現すには、その材料がまったく用意されていなかった。これでは、もう一枚の新しい扉など、できるはずがなかった。
しかし、それはアレッタにもわかっていた。扉を形作る材料がなかったとしても、扉同士をつなぐ道筋さえ作ってやれば、アレッタがドリーブランド中に設置した扉のどれかに、行く先がつながるはずだった。
アレッタが、唱えていた呪文を自信ありげにやめると、『王様の扉』に導かれた学生とその仲間達が、強い力で吸いこまれるように一人ずつ飛びこんできた。
アレッタが考えたとおり、やって来た人々は『夢の扉』の先ではなく、新しく作った扉の輪郭の方に向かってきた。
成功した――。と、アレッタがほっとした時だった。
「ここ、どこ?」
と、いつの間にやって来たのか、アレッタが描いた輪郭だけの扉の奥から、半袖の白いワンピースを着た女の子が一人、不安そうな足取りで外に出てきた。
『王様の扉』に吸いこまれた人達が、アレッタの目の前で進路を変え、『夢の扉』の先へと飛び去ると、あっという間に姿が見えなくなった。
「あなた、いったい誰の夢なの」と、アレッタは姿を現した女の子に、ため息交じりに言った。「――ここにいちゃ危ないわ。この扉が閉まったら、どこに飛んでいくかわからないのよ。さぁ、私と手をつないで」
アレッタは、せっかく描いた扉の輪郭をひと息で吹き消すと、女の子の手を引きながら、急いで『夢の扉』の外に出た。
聳え立つ『夢の扉』を見て、アレッタはとんでもない計算間違いをしていたことに気がついていた。
『夢の扉』の中で扉につながる道筋を作れば、こちらから通っていくだけではなく、向こう側からやってくることも、当然できてしまうのだった。
――この子を、やってきた元の場所に帰してあげなきゃ……。と、アレッタは自分の手をぎゅっと握っている女の子の手を、そっと握り返した。
向かい側に見える『王様の扉』は、『夢の扉』よりも早くも扉を閉め終えようとしていた。しかし、なにをぐずぐずしているのか、仲間を逃がすために必死で扉に訴えていた学生が、まだ扉の向こう側に残っていた。
「――早く開けてあげて。あなたは、ドリーブランドとつながっているんだから」と、向き直ったアレッタは、『王様の扉』の裏側から扉に話しかけた。「どうしてそんなに頑固なの。彼女が王様の友達じゃないから? だったら、これから友達になればいいだけじゃない」
「たたいいへへんんだだ。ははややくく、ははややくくたたすすけけななききゃゃ。たたいいへへんんだだ。ははややくく、ははややくく」……。
と、『王様の扉』とは違う声が、『王様の扉』の声と意思を通わせるように重なり合い、アレッタの体にぶるぶる響くほど大きな振動を起こし始めた。
「えっ? あなた、『夢の扉』なの――」
と、後ろを振り返ったアレッタは、驚いて言った。「どうして、こんなところにいるの」
暗闇の向こうに、見覚えがある扉のシルエットが浮かび上がっていた。それは、ねむり王のために作られた『夢の扉』だった。
徐々にくっきりと浮かび上がってきた『夢の扉』は、アレッタが作った『王様の扉』と声を合わせ、共鳴して、互いが引き合うように振動していた。
「ちょっと待って、あなた達、これをさせるために私をここに来させたのね……」と、アレッタは完全に姿を現した『夢の扉』を背中で押さえながら、『王様の扉』に言った。
扉の部屋にいた扉達が声をそろえていたのは、『王様の扉』の危機をアレッタに伝えるのと一緒に、アレッタに王様の『夢の扉』とつながる道筋をつけさせ、本来決められていた行き先を変えようとしたためだった。
「あなた達、どうするつもりなの」と、向かい合った『夢の扉』と『王様の扉』が互いの扉を開こうとするのを感じながら、アレッタは言った。「彼女を助けたいなら、ドリーブランドに連れて行けばいいのよ。なにを企んでいるのかはわからないけれど、彼女達を助けるために私の知らないところに連れて行くのなんて、絶対に許されないんだから」
ギギギギギ、ギギギ――……
と、アレッタが背中で押さえていた『夢の扉』が、重い扉を軋み音を響かせながら開き始めた。
「だめだってば」と、アレッタは開こうとする扉を両手で押し返しながら言った。「王様だけが通れる道を使うなんて、許されないんだってば」
しかし『夢の扉』は、『王様の扉』と声を合わせるように、扉を開いていった。
重い扉は、アレッタの力では開くのを止めることはできなかった。だったら――と、意を決したアレッタは、ねむり王の夢の通り道につながっている扉の中に、自分から飛びこんでいった。
できるかどうかはわからなかったが、アレッタは『王様の扉』を通ってやってくる彼女達を、急ごしらえの新しい『王様の扉』を通して、ドリーブランドに行かせようと考えていた。それならば、扉達が彼女たちを行かせようとしている場所に、行かせないで済むかもしれなかった。