やれやれ。
もう何にも言えないくらい朝から疲れてるしXXX
昨日は一日中吹雪いてやがるし、
仕事から帰ってきて多少は雪かきしたけどさ、
風で舞い上がってむせかえるくらい強い風だった。。
で、朝起きれば昨日の夜の努力が
パーになるくらいな吹きだまり・・・。
あーあ。
らっきょうでも新生姜でもいいから、
おむすびにしてがっつし食いたい。
食いたい。。
甘いチョコでコーティングしたさきイカでもいいわ。
食いたい。。
やれやれ。
もう何にも言えないくらい朝から疲れてるしXXX
昨日は一日中吹雪いてやがるし、
仕事から帰ってきて多少は雪かきしたけどさ、
風で舞い上がってむせかえるくらい強い風だった。。
で、朝起きれば昨日の夜の努力が
パーになるくらいな吹きだまり・・・。
あーあ。
らっきょうでも新生姜でもいいから、
おむすびにしてがっつし食いたい。
食いたい。。
甘いチョコでコーティングしたさきイカでもいいわ。
食いたい。。
ためつすがめつしながら、ニンジンは小屋の外を回ると、のっぺりとした壁の下に、小さなドアらしき物を見つけた。大人なら、体をかがめなければ入れないほどの低いドアだった。その奥になにがあるのか。ニンジンは、指でつまめる程度の、気持ちばかりの取っ手に手を掛けた。
ギギッ――と、音だけは重々しいドアの奥に、どこかで見覚えのある帽子があった。
「あんた、ここでなにやってるんだ――」
と、ニンジンは、ドアの奥をのぞきながら言った。
白黒の、大きなチェック柄の帽子を被った白いロングコートの男が、驚いたようにこちらを振り向いた。
「――おやおやどうも」と、マジリックと名乗った男は、ばつが悪そうに小屋の外に出てくると、言った。「思っていたより、ずいぶん遠くまで飛ばされちゃったみたいなんです」
「なに言ってるんだよ」と、ニンジンは首をかしげて言った。「飛ばされたって、あんたと会った場所からかい」
「いえいえ、私のいた国からです」と、マジリックは首を振りながら言った。
「国って、どこの――」と、ニンジンは言った。
マジリックは体をかがめると、重々しい音を立てないように、軽いドアをそっと閉めた。
「――王様の夢の扉を、一度見てみたかったんです」と、こちらを向き直ったマジリックが言った。「夢に通じる道を作れる扉なんて、素敵じゃないですか。お城に代々伝わる秘宝かもしれませんが、手品のタネに使えば、それこそ、みんなをあっと言わせられるはずです」
「あんたの国って、王様がいるのか」と、ニンジンは訊いた。
マジリックはうなづくと、話を続けた。
「手品を披露する舞台があったので、ちょうどお城の近くまで行くことになっていたんです。――いいえ、もちろん初めてじゃないですよ。でも、扉を見たことは一度もなかったんです。だから今度こそ、この機会を逃しちゃ行けないと思って、大臣に頼みこんで、扉のある広間に案内してもらったんです」
マジリックは遠くを見るような目で話しながら、歩き始めた。
「今でも信じられませんが、とうとう扉を見ることができたんです。ただ、ちょっと舞いあがり過ぎて、思わず魔法を使ってしまいました」
「あんた、病院に行かなくても大丈夫だよな」と、ニンジンは並んで歩きながら、困ったように言った。「連絡したい親族がいるなら、相談に乗ってやるよ」
マジリックはそばにあったベンチに腰を下ろすと、話を続けた。
――――……
「……」
と、数日前の晩、路上に腰を抜かして座りこんでいた男は、窓を開けた外国車のドアに頬杖をつきながら、ふてくされたように外を見ていた。
「――で、捕まえたのか? あのライオンもどき」と、留置場から出てきた男は言った。
「困ったやつだな、おまえは――」と、眼帯をした刑事は、男が出てきた留置場のドアを、後ろ手にを閉めながら言った。「自分勝手な正義感で余計なことに首を突っこんで、面倒ばかりかけないでくれよ、ニンジンさん」
背中をポンと叩かれた男は、歩きながらムッとした顔で振り向いた。
「なんですか、それ?」
「聞いたよ。町内の子供達の間じゃ、知らない子がいないくらい有名だってね」と、眼帯の刑事はクスリと笑った。
「――からかうのはやめてくださいよ。子供達相手に遊んでいられるほど、ひまじゃないんですから」
「まぁまぁ」と、眼帯の刑事は笑顔を浮かべて言った。「子供を狙う不審者も多いからな。保護者にすれば、探偵なんて肩書きのヤツは、信用できないのさ」
「――ちぇっ」と、男はつまらなさそうに言った。「もう一泊してもいいですよ。疑わしいことがあるなら、取り調べてください」
「またまた、そうすねないで――」と、眼帯の刑事はなだめるように言った。
「じゃあな、気をつけて帰れよ。今日は運転手つきのパトカーは無いからな」
と、玄関まで見送りに来た眼帯の刑事が、小さく手を振って言った。
雪が降りそうな薄曇りの空。ニンジンはジャンパーのジッパーを閉じると、小走りに警察署を後にした。
もう何度も足を運んだ警察署だが、事務所兼自宅のアパートまでは、歩けば遠く、車では近すぎる距離だった。
バスが傍らを走り過ぎていくのを目の端で捕らえながら、財布の中身を思い浮かべた。時刻表が、歩けと結論を出してくれた。
数日後――。
いつになく目が冴え、いつもより早起きをしたニンジンは、そそくさと着替えを済ませてアパートを出ると、区役所のそばにある保健所に徒歩で向かっていた。
と、あまり来ることのない道の向こうに、日当たりのいい公園が見えた。
白い息を吐きつつ、ニンジンは急ぎ足で公園に向かうと、座り心地の良さそうなベンチを探した。
公園の中にやってきたニンジンは、見たこともないキノコ型のあずま屋を見つけると、首をかしげながら近づいていった。
「なんだ、あのキノコ――」と、ニンジンは思わず声を漏らした。
一見すると、大きな傘を広げたキノコの小屋は、タコや宇宙船を模した遊具の仲間のようだった。しかしそばで見ると、外見のイメージとは違い、上り下りする階段も、すべり台もなかった。