ゆりこはこの頃、夕飯の支度を殆どしなくなっている。
父は 椿 に入り浸りで、週一回位しか早く帰ってこない。土曜日は何時になるか分からないので、さっさと寝るようにしている。
あまりにも父の方が入れ込んでいるのが気になって、誠二にあの女将の情報を頼んでおいたのだが、ようやく少しづつだが、耳に入るようになってきた。
酔客相手の商売だからしょうがないのだが、案の定、男のうわさが幾つか出てきた。
まずあの店は、彼女の名義になっている。どうやって手に入れたかはまだよくわからないが、通いつめている誠二と同じ会社の社員に聞いたところ、必死になって貯金をしながら料理屋を転々と働いてきて、あとは親の財産を先に分けて貰い、お蔭で店が持てた、と本人が話したそうだ。だが、店のアルバイトの女性に奢ってやりそれとなく問いただすと、女将さんは経理が苦手で、売り上げにはあまり頓着していない、趣味で商売をやっているかの様にのんびりしている、きっといい旦那さんにでも買って貰ったんじゃないですか、あの美貌だから、と羨ましがっていたとの事である。
ゆりこと誠二はお互いの地元近くを避け、新宿で会っていた。
「どこまでが本当か、まだまだね」
「でも、そのアルバイトの娘にだね」
「あなたの同僚が仲よくなっちゃったの?」
「それは、まあそうかもしれないけど・・時々22時過ぎ頃になると、60過ぎ位の、品のいい男性が現れるそうだよ」
「お金持ちそうの」
「そう、その人が来るとあのママ、いや女将は仕事そっちのけで付きっきりになってるんだって」
「やはりスポンサーなのかしら」
「それが普通なんだろうね」
「その他には、何か分かったの?」
「週二回位、40代後半のいい男が一人で飲みに来るそうだけど、いやに仲よさそうにみえたって話もあるよ」
「やはり一筋縄じゃいかないわね」
「まだあるよ」
父は 椿 に入り浸りで、週一回位しか早く帰ってこない。土曜日は何時になるか分からないので、さっさと寝るようにしている。
あまりにも父の方が入れ込んでいるのが気になって、誠二にあの女将の情報を頼んでおいたのだが、ようやく少しづつだが、耳に入るようになってきた。
酔客相手の商売だからしょうがないのだが、案の定、男のうわさが幾つか出てきた。
まずあの店は、彼女の名義になっている。どうやって手に入れたかはまだよくわからないが、通いつめている誠二と同じ会社の社員に聞いたところ、必死になって貯金をしながら料理屋を転々と働いてきて、あとは親の財産を先に分けて貰い、お蔭で店が持てた、と本人が話したそうだ。だが、店のアルバイトの女性に奢ってやりそれとなく問いただすと、女将さんは経理が苦手で、売り上げにはあまり頓着していない、趣味で商売をやっているかの様にのんびりしている、きっといい旦那さんにでも買って貰ったんじゃないですか、あの美貌だから、と羨ましがっていたとの事である。
ゆりこと誠二はお互いの地元近くを避け、新宿で会っていた。
「どこまでが本当か、まだまだね」
「でも、そのアルバイトの娘にだね」
「あなたの同僚が仲よくなっちゃったの?」
「それは、まあそうかもしれないけど・・時々22時過ぎ頃になると、60過ぎ位の、品のいい男性が現れるそうだよ」
「お金持ちそうの」
「そう、その人が来るとあのママ、いや女将は仕事そっちのけで付きっきりになってるんだって」
「やはりスポンサーなのかしら」
「それが普通なんだろうね」
「その他には、何か分かったの?」
「週二回位、40代後半のいい男が一人で飲みに来るそうだけど、いやに仲よさそうにみえたって話もあるよ」
「やはり一筋縄じゃいかないわね」
「まだあるよ」