ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

映画「悪人」のこと

2011-03-10 12:03:16 | 映画
 公開時に見逃していた映画でDVD化されたのを機に鑑賞したものです。

 原作は朝日新聞の夕刊に掲載されたものなので大筋の話は分かっていました。しかし映画を観て、原作では読み取れなかった、登場人物の心の奥の内面をも良く見せてもらった感じが致しました。原作者は映画化に際して脚本つくりににも参画したと何かで読んだことがあり、さもありなんと思いました。

 土木作業員の祐一(妻夫木聡)は、長崎の漁村の片隅で生れ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒を見ながら暮らしている。趣味は車だけの退屈な毎日だった。佐賀の光代(深津絵里)は妹とアパート暮らしで、勤める紳士服量販店と往復するだけの退屈な毎日。

 その孤独な2人が偶然の出会いをする。祐一には光代に話せない秘密があった。今、世間を賑わせている殺人事件の犯人だったのだ。そして全てを打ち明けて警察に自首しようとする祐一を止めたのは光代だった。「もっと早く出会っていれば良かった」。生まれて初めて人を愛することを知った2人は、先の見えない逃避行を続ける。そして2人は地の果てに建つ灯台での絶望的なひとときの生活を過ごす。

 その逃避行が生んだ波紋は被害者の家族や、祐一の家族の人生に大きな影響を与える。特に被害者の父親は、何故、娘が殺されなければなかったかの追求していく段階で、娘を殺害現場で車から放置した若者の存在を知る。その若者たちの前で被害者の父親(柄本明)がトツトツ話す言葉が胸を打つ。

     あんた、大切な人はおるね? その人の幸せな様子を想うだけで、
     自分までうれしくなってくるような人は。

     今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる。
     自分には失うものがないち思い込んで、それで強くなった気になっとう。

     だけんやろ、自分が余裕のある人間て思いくさって
     失ったり、欲しがったりする人間を、馬鹿にした目でながめとう、
     そうじゃないとよ。 それじゃ人間はだめとよ
 

 そしてなぜ祐一は人を殺さなければなかったのか?。光代はなぜ殺人者を愛したのか?。引き裂かれた被害者と加害者の家族の運命はどうなるのか?。その絶望のどん底でもがき続ける2人の心の中は?。そして本当の悪人は誰だったのか?。を考えさせる。そんな映画になっていると思う。

 評判通りの映画の出来は文句なしに A の評価を与えたい。

TV画面からの映像である。
  
       

コメント
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