Tさんが今日はWOWOWで映画「荒野の決闘」を字幕付きで見ていました。ヘンリー・フォンダ主演の西部劇です。
ジョン・フォード監督の古い西部劇で、私も何度か観たことがあります。その主題歌となった「いとしのクレメンタイン」をTさんがくちづさんでいるのです。
めったに歌を歌わないTさんが音程のおぼつかない調子で歌う様子に驚きました・・・・・・
聴力を失っているので、自分の声が聞こえなくて音程が取れないのです。
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私の夫 Tさんは平成元年の夏 突然突発性難聴を発症し即入院と告げられるも、やりかけの仕事を片付けて入院しました。
この、仕事を片付けた1週間が彼の病気を手遅れにしてしまったようです。その後1ヶ月余の入院治療の甲斐なく左耳は聞こえなくなりました。あとになり、その1週間は治療のゴールデンタイムだった・・・と知りました。
数年は右耳の聴力を頼りに会話ができていましたが、その右耳までが徐々に聴力が落ちていきました。
現在は、Tさんの思いは自分でしゃべれますが、私の言葉を聞き取ることが出来ないので二人の間では、筆記通訳をしています。
発症から30年、今では聞こえないことをあたりまえに過ごしていますが、Tさんの脳では歌のメロディーを記憶していて、彼の耳の奥 内耳のもっと奥かもしれませんが、クレメンタインのメロディーが高らかに鳴っているのかもしれません。