夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

原人コッツバンド

2015年03月16日 | 音楽


アナログ時代の玩具は楽しい。
ローテク、メカニカルな仕組みで夢を実現しようとするところに魅かれる。

物置から昔求めた玩具が出てきた。
「原人コッツ~コッツバンドシリーズ」という原人がパーカッションを叩き合うものだ。

原始人のようなイメージの人形が両手で丸木やシンバル、ドラム風の石板を叩く。
メインとサブの人形はケーブルで繋がれて、単三電池で駆動する。

異なるパターンの人形を裏面の端子で連結することでリズムが同期すること。
かなり複雑なリズムパターンが用意されており、その変化を楽しむこと、さらに人形を加えていく楽しみを期待させる。

これを見るとタヒチアンドラムを思い起こす。
いや、タヒチアンドラムがこの玩具の発想の原点だったのかもしれない。

この玩具が発売されたのは90年代だったようだ。
ネットを眺めていたらこの玩具をコンピュータ制御しようとされた方のサイトが出てきた。
「PC98」とか「BASIC」などという言葉が出てきて画像もややその時代を思わせる。

エレクトロニクスの専門家であるらしいその方のサイトには当然のように真空管オーディオのコーナーもあるしメカニックとエレクトロニクス双方を探求している。
当然のようにこの「原人コッツ」を解析して駆動部が磁石であることを紹介していた。

驚いたことにこの方、PCを使って任意のリズムをこれら人形に叩かせようとしたらしい。
リズム譜を作ってその信号をそれぞれの人形に送る、なるほど思いのままのリズム演奏が可能になるわけだ。

今の時代なら相当量のリズムの変化を記憶させて電子的に再現することは簡単だろう。
しかしこの時代に「すごい!」と思わせる仕掛けを箱の中に用意して、ボタン一個で駆動させた発想がすごい。
ハードウェアからソフトウェアへの移行期、ハードとソフト両面の技術革新が行われた時代ゆえの産物だと思うのだ。

さて本物のポリネシア、タヒチアン・ドラマーたちの放つグルーヴたるや素晴らしい。
アジアから移住した子孫とは思えないくらいの複雑なリズムをいとも簡単に繰り出しているではないか。

こうした強烈なリズムと対照的なゆったりした踊り、扇情的な腰の振りが南の島の楽園を表現する。
バウンティ号の乗組員たちが反乱を起こしてまでして残りたかったタヒチの娘たちの魅力に男は共感しないではいられない。

リズムをデジタルで表現しようという試みはいわゆる「打ち込み」と言われる分野でかなり進化しているのだろう。
機械的にリズムを創出するのは、「ノリ」や「タメ」はたまた「ルパート」に至るまでミュージシャンにとってはやりにくいことだった。
しかし無意識に聴いている音楽CDには案外そうしたデジタル音源が使われているのかもしれない。

それでも人間が集まって「ノーズフルート」を吹き「トエレ」を叩いて作り出すグルーヴに感動するのは、そこに生きている「人間がいる」からだろう。





原人コッツ バンド演奏 全3曲


Tahitian Drumming (Da Island Way, 2008-07-05)


TAHITI ORA - Heiva 2011 TNTV Moena.mov