夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

ノーと言える勇気

2016年04月12日 | 日記・エッセイ・コラム


ウルグアイの元大統領夫妻が来日した
「世界一貧しい大統領」などと見当外れの謳い文句をつけた人が恥ずかしいと思うような爽やかな夫妻だった

「清貧」という言葉もどこかへ追いやられた感の日本、浅草の仲見世の喧騒を不愉快に思ったムヒカさん、宗教は敬虔なもので商魂たくましきものではないとばかり
大阪での通天閣に登ってみないか、銭湯を覗いてみないか、という浅薄な興味本位の誘いにも「ノー」と

ボリビアで散ったチェ・ゲバラに感化されたかどうかわからないが、貧困の中に育って革命のための闘争を続けてきた、銃撃を受け投獄され
共に戦ってきた夫人と所帯を持つも、とても子供を持つことなどできなかったと、闘争の過去を振り返ってか夫人の目に涙が

戦前、戦中、戦後と日本は貧しい時代を経て経済的ゆとりを求めてきた
ゆとりを通り越して今や飽食の日本はアジアの注目のマトであるが、リーダーではない

日本の経済的な繁栄には目もくれず広島の原爆資料には目を奪われていた
お金が欲しい人は政治家でなく商売人をやれと、明快だ

会社に行けばサラリーというお金がもらえると考える人は、さらなるお金を手に入れるために媚びへつらう
お金は必要だが、お金を手に入れることが目的であってはならない、人生という時間をかけて行うことは金儲けだけではない

アマゾンの先住民の暮らしは現代社会の尺度で見れば「貧しい」となるかもしれないが、決して彼らは貧しくなく「豊かな生活」を送っているという
ハワイのニイハウ島の伝統的な生活を守ろうとしてきたロビンソン一族のことを思い出す

民間TV局の招きで来日したというが、面白おかしく料理しようとした思いつき企画の一部は明確に「ノー」とされた
この思慮深く愛情に溢れた老革命家は、どのようにして生まれたのだろうか

対価を求めて働く世界にあって「世のために働く」人は新鮮だ
貧困がそうさせたのか、長い闘争と投獄生活の中で導き出した哲学なのか

スポーツマンの賭博事件など連日不愉快な報道ばかりの中でムヒカさんの特集番組は爽やかだった
日本にこういう政治家がいたら世の中が変わるのに




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