
本稿にちょくちょく登場するT君は郷里の高校の軽音楽部仲間
まさに「青春デンデケデケデケ」を共に体験してきた世代で、彼はドラムスを担当した
シャドウズ、ベンチャーズ、ビートルズの出現で世の若者はエレキギターの虜になった
グヤトーン、テスコ、などのエレキギターが欲しくてたまらない高嶺の花だった
箱にネットを張ってスピーカーを取り付けた簡単な「アンプ」との安価なセットでも買える高校生は少なかったと思う
ましてやドラムセットなど第一叩く場所がなかったが、畳敷きの和室で無理やり叩いていた友人たちもいた
当時の高校の軽音楽部の部室は楽器置き場を兼ねた一室をクラシックギター、スイングジャズ、ハワイアン、ブラスバンドなどが共有していた
既存のジャンルから新規に「エレキバンド」と「P.P.M」などに感化されてできた「フォークグループ」が誕生した
大音量で演奏するエレキバンドの練習場所は部室の中にあった小さな防音室だった
ここにリードギターのY君、サイドギターのF君、ベースギターのF君、ドラムスのT君が詰め合わせて練習する
定時制の皆さんの授業が始まるであろう夕闇の迫る頃、いつまでも練習を続ける彼らと階下の教頭先生との確執が始まる
「いい加減にしろ」「はーい」と言ったかどうか知らないが、この進学校の教頭先生の最後通告は電気を落としてしまうことだった
「プシューッ!」てな感じで音が消えて、真っ暗闇の中、不承不承エレキバンドの面々が退散する
傍目で見ていてこれは滑稽であったが、権力に立ち向かう「Rock」と「Folk」の発露であり、やがて学生運動へと発展していく曙でもあった
ビートルズやブルーコメッツなどのヒット曲を演奏する彼らは、当時の在校生の憧れの的だった
譜面や教則本など今ほど普及していなかったあの頃、「耳コピ」で楽曲をマスターしていたY君には恐れ入った
ギターコード(和音)の押さえ方しか知らない高校生が耳に聴こえる音を頼りに奏法をマスターしたのだからその集中力たるや恐ろしい
寺内タケシやノーキー・エドワーズをコピーしたかと思えばチェット・アトキンスやらジョン・レノンの音楽性の高さにまで言及したY君には随分影響を受けた
練習場所にしていた木造校舎からの帰りみち、ポロンポロンとギターを弾きながら交わすそんな音楽への思い
異性への憧れのように未知の世界へと少年たちは夢を追い続ける
当時部長を務めていた幼馴染のO先輩から入れと言われたのがハワイアンバンド
スティール・ギター、ウッド・ベース、ピック・ギター、ウクレレで編成されるスタイルで、もちろん歌も歌う
当時800円くらいで買えたウクレレからスタートした私はものの数ヶ月でベースを担当することになった
細面のO君が「軽音」を辞めることになったからだ、「なんで辞めるの?」「勉強する」「ふーん」
そしてS先輩の登場、「おいベースを教えてやる」「はい」「いいか、Cはこうだ、ド、ミ、ソ、 な、、、」
「よし今度はフォークダンスを教えてやろう」「は、はい」「いいか、山のロザリオはいいぞ、」「はあ」「一人の女の子とずーっと踊れるんだぞ、どうだ、驚いたか!」「凄いです!¥〓△●」
かくしてサンダルを履いたK高生二人は、誰もいない木造校舎で手を取り合ってフォークダンスのレクチュアを続けるのであった、嗚呼青春
そして私はめでたくもフォークダンス指導員を推挙されて昼休みの屋上でのフォークダンスで宝くじを買うような確率を経験することになる
そんな高校時代のF君、もう一人のF君、T君、顔の大きいO君たちと音楽ができるようだ
楽しかったあの頃、涙が出てくるかもしれない、楽しかった、ありがとう、みんな、いつまでも続けよう音楽を
Jim Keltner At Guitar Center
Jim Keltner talks DW, At Guitar Center
Paiste 19" Signature Dark Energy Mark I Crash Cymbal - Jim Keltner - 1699g (4801419-1101315E)