今は昔、アメリカン・ポップスの邦題に「悲しき」がついた時代があった。
「悲しき少年兵」「悲しき雨音」などなど、おそらく悲しきを冠すればヒットするというジンクスがあったのだろう。
確かにあの頃「Rhythm of the falling rain」では、レコード屋さんへシングル盤を買いに行くのに不自由があった。
ラジオから流れた曲の名がわからなくてお店で口ずさむのも恥ずかしいし、という時代だった。
さて郷里の音楽仲間T君からのお便りで映画「ジャージー・ボーイズ」を紹介してくれた。
昨年クリント・イーストウッド監督によるミュージカルの映画化、そう「悲しき朝焼け」のフォー・シーズンズの物語、T君は映画館の封切りに出かけたそうだ。
当時数々のヒット曲を出していたフォー・シーズンズ、男性ファルセットのフランキー・ヴァリは知っていた。
「シェリー」で有名な男性ファルセット・ヴォイスは多方面に影響を与えたと思われ、日本ではパラダイス・キングなどの演奏が記憶にある。
映画はメンバーによるモノローグで綴られ、人との出会い、マフィアの影、音楽の変遷、栄光への軌跡などが語られる。
50年代から60年代にかけての景色が、当時は写真と夢でしか見られなかった者にとっては新鮮だ。
古いアメリカ車、コーヒーショップの室内、ミュージカル・アンプやエレキ・ギターなど楽器類など、見ているだけで嬉しくなってくる。
また犯罪やメンバーの確執、音楽を創作するための葛藤など、バンドを続けていく上で通らなければならないドラマが続く。
フォー・シーズンズの当時の映像を見るとベースもギターも「Gibson」の「Thunderbird」を使っていたり、Ampも見かけないものだったりと新発見がある。
莫大な借金を作ったメンバーの肩代わりを引き受けたフランキー・ヴァリの「ジャージーもんは仲間を裏切らない」というセリフが印象的だ。
最後のダンスシーンがミュージカルらしくていい。
マフィアの大物も高利貸しも悪友も、音楽上のベターハーフも、妻も恋人も一緒になって踊る、、
50年代が輝いて見えるのは、戦争が終わり世の中全体が未来に向かっていたからだろうか、、
映画『ジャージー・ボーイズ』予告編(ロングバージョン)【HD】 2014年9月27日公開
The Four Season & Frankie Valli hits live Sherry, Rag doll, Walk
映画『ジャージー・ボーイズ』フィナーレ映像
Frankie Valli & The Four Seasons - Sherry Live in Concert 2013