こんばんは。
今日も寒かったですね。
自公(与党)と維新の「高校無償化」に向けた協議が大詰めを迎えています。
そこで焦っているのが国民民主党。「103万円の壁」についての自民党案は、所得制限を設けた案で受け入れられない、と。幹事長は、「維新とまとまりそうなので、こんな案を出してきている」と反発しています。
私は、「自業自得」の部分もあるように思います。それは後程。
【『103万円の壁』より『106万円の壁』】
国民民主党が「手取りを増やす」として先の衆議院選挙に臨み、自民党の議席減と呼応して議席数を大幅に増やしました。
そして、過半数割れした与党が予算案などで衆議院を通過させるためには、国民民主党か日本維新の会のどちらかが賛成に回る必要があります。
そこで、先手を打ったのが国民民主党である訳ですが。
それによって、『年収の壁』が話題にあがりました。
《103万円の壁》
所得税がかかる、基礎控除額48万円と給与所得控除額55万円を足した103万円を超えると「所得税」がかかることになります。これが『103万円の壁』です。給与収入が103万円を超えると所得税が発生し、同時に、配偶者控除を受けている人は「配偶者特別控除」に切り替わります。また、学生がアルバイトをして103万円を超えた場合は、親の扶養控除が適用されなくなり、親の所得税額が上がることになります。
《106万円の壁》
年収が106万円を超えると配偶者の扶養から外れ、じぶんで年金保険料を負担することになります。
ただし、現状では条件があり、
(1) 企業規模が従業員51人以上
(2) 労働時間が週20時間以上
(3) 年収106万円(月額8万8000円)以上
の3つの条件を満たした場合に適用されます。
《130万円の壁》
年収が130万円を超えると給与収入のある全ての人が配偶者控除から外れ、年金への加入義務が発生し、年金保険料を負担することになります。
厚生年金保険料は、毎年4月~6月の給与より算出した標準報酬月額に保険料率(18.3%)を掛けた額になり、その額を企業と従業員で折半することになります。また、賞与については「総報酬制」により賞与額に保険料率(13.8%)を掛けた額になり、その額を企業と従業員で折半します。
つまり、厚生年金保険料の支払が始まると、本人の給与から厚生年金保険料が引かれるだけでなく、ほぼ同額を企業も負担することになり、企業の人件費が増えることになります。
説明が長くなりましたが。
国民民主党が主張する「103万円の壁」を「178万円」まで引き上げるという案がありますが、仮に「103万円」が増額されたとしても、「106万円の壁」には掛かってしまうことになり、それの適用外であっても「130万円の壁」では、必ず社会保険負担が発生することになります。
その「106万円の壁」を厚生労働省が『撤廃』しようとしています。
ただし、
(1) 企業規模が従業員51人以上
(2) 労働時間が週20時間以上
(3) 年収106万円(月額8万8000円)以上
の内の(1)と(3)を撤廃し、(2)の労働時間が週20時間以上は残すというのです。
これで何が起こるのか。
(1) 企業規模が従業員51人以上 が撤廃されると、これまで適用外であった従業員51人未満の事業所も対象となります。
(3) 年収106万円(月額8万8000円)以上が撤廃されると、所得にしばりがなくなります。
残るは、(2) 労働時間が週20時間以上 だけで、『週20時間以上』働いてしまうと社会保険負担が始まるということです。
これは、『改悪』です。
『週20時間以上』働いた場合は、1時間当たりの賃金額に関わらず、どの事業所でも社会保険料負担が始まるということです。
それを避けるには、『週20時間未満』を厳守する必要があります。1日8時間の勤務だと、週3日で24時間になりアウト。
仮に、最低賃金(平均)の1時間1050円とすると、年間約52週で、20時間×52週=1040時間。年間で1,092,000円。これがMAXということです。(1時間当たりの賃金が多い分には130万円を超えなければ問題ありません)
ところで、「103万円の壁」や「106万円の壁」の見直しの『目的』って何なのでしょう。
『(国民民主党が言う)手取りを増やす』こと?
『「働き止め』を減らし、労働力不足の解消」につなげること?
例えば、年収130万円の場合
所得税は、130万円-103万円=27万円 × 5% = 13,500円 ÷ 12か月 = 1,125円
厚生年金保険料は、賞与なしで考えた場合
130万円 ÷ 12か月 = 約108,400円
108,400円 × 18..3% = 19,837円 ÷ 2 = 9,918円
9,918円 × 12か月 = 119,016円
現状で、年収130万円になると、概算で、所得税を年間13,500円(月1,125円)負担し、厚生年金保険料を年間119,016円(月9,918円)を負担することになります。更に、厚生年金に関しては、企業も年間119,016円(月9,918円)負担することになります。
両方がいいには間違いないですが、「103万円の壁」と「106万円の壁」(の厚労省見直し案)のどちらを優先すべきか。手取りを増やすことを考えると、「106万円の壁」を見直す方が『手取りを増やす』には、より効果があります。
でも、「106万円の壁」の話、各党、各議員から、あまり話が出てこないんですね。国会議員でも『タブー』なのでしょうか。
単純に、税負担や保険料負担だけでなく、『扶養』もからんでくるため、もっとやっかいではあるのですが。
『103万円の壁』は所得税の問題であるため、国や地方の財政上の税収減になるため、「恒久的な制度」とするためには、安定的な財源が必要になります。その点で、国民民主党の「178万円」では、国と地方合わせて6兆円~7兆円の税収減になります。国民民主党は、その財源については与党丸投げです。
それと比較して、日本維新の会の「高校無償化」に必要な税源は数1000億円で、国民民主党の「178万円」と比べれば少ないものです。それは、話がまとまりやすいですね。
国民民主党は、「178万円」ではなく、所得税、社会保険料とも(『扶養』を含め、『130万円』への引き上げを目指すべきではないでしょうか。第1弾として。所得税「178万円」への引き上げより、所得税、社会保険料、扶養から外れる額を『130万円』にした方が各段に「手取りを増やす」効果があります。
更に、現在も企業は『130万円』を超えれば、社会保険料の企業負担を行っている訳ですから、企業にとっては変化はありません。実質も精神的にも「負担増」にはならないはずです。
真に『手取りを増やす』ことを追求し、早期に実現するには、「178万円」に固執せず、『年収130万円』の壁に引き上げることをすべきではないかと、私は思います。
いかがでしょうか。
では、また。