転載 原発 今も危険続く
福島第1 1~3号機注水量低下
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では昨年3月11日の事故から1年半を前に重大な事態が発生しました。8月30日に、1~3号機原子炉圧力容器への注水量が突然低下したのです。3機そろっての注水量低下は初めてです。
事故発生時に運転中だった1~3号機では圧力容器や格納容器の底部に溶け落ちた燃料を冷やすために圧力容器内への注水が行われています。その量が突然、1~3号機全てで1時間当たり0・9トンから1・5トン減ってしまったのです。
溶け落ちた燃料からは今も崩壊熱が発生しています。崩壊熱に見合う量の注水ができなければ、再び温度が上昇し、溶け出す恐れが出てきます。実際、一時は、1号機で1時間当たり4・3トン、2、3号機で6・1トンとされる、崩壊熱除去の必要量を下回る事態となりました。
なぜ、突然注水量が低下したのか―。東電が、注水用のタンクの内部に白い浮遊物を見つけ、それが弁に詰まったのが原因とみられると発表したのは1週間後の6日でした。その間、原因がわからないまま弁の操作などで注水量の調整を続けざるを得ませんでした。
浮遊物は、配管をそれまでのポリ塩化ビニル製からポリエチレン製に換える工事を行った際に出た削りかすだといいます。工事の時に削りかすの混入を防ぐこともできず、工事の時期と注水量低下発生時期が重なっていたのに原因を絞り込むまで1週間もかかるところに、福島第1原発の現状が表れています。
さらに深刻なのは、圧力容器や格納容器の温度計が次々壊れていることです。東電は7日、2号機圧力容器底部の温度を測定している温度計の1台が監視に使用できなくなったと発表しました。2号機では、圧力容器底部の温度を測定するために設置された6台の温度計のうち4台がすでに監視に使用できなくなっており、これで残り1台となってしまったことになります。
政府と東電は昨年12月、圧力容器底部の温度が100度以下になっているとして1~3号機を「冷温停止状態」と判断し、「事故の収束」を宣言しました。残り1台が壊れれば、収束宣言のよりどころを失うだけでなく、注水ができなくなるなどして燃料が異常な状態となっても、それを知るすべがなくなることを意味します。
経済産業省原子力安全・保安院は、代替温度計の設置を指示しています。東電は、原子炉の外から格納容器内に通じている配管の一つを使って温度計を挿入しようとしていますが、最も有力とされる配管が詰まっていることが明らかになるなど“暗礁”に乗り上げています。
1~3号機の原子炉内では確認されているだけで、2号機格納容器内で毎時7万3000ミリシーベルトと高い放射能レベルにあります。昨年、4、5月に海へ流出して問題になった高濃度放射能汚染水も依然として原子炉建屋やタービン建屋地下などに約9万7500トンがたまっており、それを処理して出た放射能を含む廃液はどんどん増え続けています。
事故から1年半が経過した福島第1原発は今も危険な状態が続いています。
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注水量が低下(8月30日)
1号機 4.9トン(必要量4.3トン)→4.0トン
2号機 7.0トン(必要量6.1トン)→5.5トン
3号機 7.0トン(必要量6.1トン)→5.6トン
いずれも1時間当たり
福島第1 1~3号機注水量低下
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では昨年3月11日の事故から1年半を前に重大な事態が発生しました。8月30日に、1~3号機原子炉圧力容器への注水量が突然低下したのです。3機そろっての注水量低下は初めてです。
事故発生時に運転中だった1~3号機では圧力容器や格納容器の底部に溶け落ちた燃料を冷やすために圧力容器内への注水が行われています。その量が突然、1~3号機全てで1時間当たり0・9トンから1・5トン減ってしまったのです。
溶け落ちた燃料からは今も崩壊熱が発生しています。崩壊熱に見合う量の注水ができなければ、再び温度が上昇し、溶け出す恐れが出てきます。実際、一時は、1号機で1時間当たり4・3トン、2、3号機で6・1トンとされる、崩壊熱除去の必要量を下回る事態となりました。
なぜ、突然注水量が低下したのか―。東電が、注水用のタンクの内部に白い浮遊物を見つけ、それが弁に詰まったのが原因とみられると発表したのは1週間後の6日でした。その間、原因がわからないまま弁の操作などで注水量の調整を続けざるを得ませんでした。
浮遊物は、配管をそれまでのポリ塩化ビニル製からポリエチレン製に換える工事を行った際に出た削りかすだといいます。工事の時に削りかすの混入を防ぐこともできず、工事の時期と注水量低下発生時期が重なっていたのに原因を絞り込むまで1週間もかかるところに、福島第1原発の現状が表れています。
さらに深刻なのは、圧力容器や格納容器の温度計が次々壊れていることです。東電は7日、2号機圧力容器底部の温度を測定している温度計の1台が監視に使用できなくなったと発表しました。2号機では、圧力容器底部の温度を測定するために設置された6台の温度計のうち4台がすでに監視に使用できなくなっており、これで残り1台となってしまったことになります。
政府と東電は昨年12月、圧力容器底部の温度が100度以下になっているとして1~3号機を「冷温停止状態」と判断し、「事故の収束」を宣言しました。残り1台が壊れれば、収束宣言のよりどころを失うだけでなく、注水ができなくなるなどして燃料が異常な状態となっても、それを知るすべがなくなることを意味します。
経済産業省原子力安全・保安院は、代替温度計の設置を指示しています。東電は、原子炉の外から格納容器内に通じている配管の一つを使って温度計を挿入しようとしていますが、最も有力とされる配管が詰まっていることが明らかになるなど“暗礁”に乗り上げています。
1~3号機の原子炉内では確認されているだけで、2号機格納容器内で毎時7万3000ミリシーベルトと高い放射能レベルにあります。昨年、4、5月に海へ流出して問題になった高濃度放射能汚染水も依然として原子炉建屋やタービン建屋地下などに約9万7500トンがたまっており、それを処理して出た放射能を含む廃液はどんどん増え続けています。
事故から1年半が経過した福島第1原発は今も危険な状態が続いています。
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注水量が低下(8月30日)
1号機 4.9トン(必要量4.3トン)→4.0トン
2号機 7.0トン(必要量6.1トン)→5.5トン
3号機 7.0トン(必要量6.1トン)→5.6トン
いずれも1時間当たり