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ハルスの笑い




天晴。

オランダはアムステルダムには、アムステルダム国立博物館で開催中のFrans Hals『フランス・ハルス展』を見に来た。

去年6月に買ったミュージアム・パスが切れる前に。


フランス・ハルス(Frans Hals)は、17世紀のオランダのハーレムで活躍した。

いわゆるオランダ絵画の黄金時代を代表する画家のひとりとみなされているものの、レンブラントやフェルメールなどの栄光に隠れてか、より知名度は低い。

彼が過小評価されている理由としては、格の高いとされてきた歴史画や宗教画ではなく、より日常的な題材に焦点を当てていたことが挙げられるだろう。

作品にはさまざまな階級に属するハーレムの住人を活写した肖像画、ハーレムの名士グループを描いた集団肖像画が多い。


去年ハーレムのフランス・ハルス美術館を訪れたのがもう10ヶ月前...早いなあ。




見よ、たとえば展覧会の宣伝にも使用されているこの楽師の笑いを。

他の楽師との目配せだろうか。
即興を楽しむミュージシャンがこのような表情をするのには見覚えがありませんか。




子供の、邪気のない笑い。天然。


人々の、オフショットのような活き活きとした表情を瞬間的にとらえて永遠のものにする描写力において卓越し、笑っている人物画を多く描いたことから「笑いの画家」と呼ばれている。

人間の笑いの表情を絵画にとらえるのが難しい理由はいくつかある。
絵画は静止した状態で表現されるため、笑いのような瞬間的な表情を捉えるのは難しい。

また、笑いは感情の微妙な変化の結果であり、微妙な表情の変化を正確に再現するのも難しい。
笑顔の目元や口元などの微妙なニュアンス、それらを絵画で再現するには高度な技術が必要だ。

笑いには、個人差や文化や時代背景もあるだろう。

そのような差に関係なく、人間の表情に現れる普遍的な笑いもある。




こちらは夫婦対になった肖像画であるが、彼女の、このウエストに腕を置くポーズ、肖像画の伝統においては「男性」のポーズだ。
夫の方は当然このポーズで描かれている。

彼女が戯れにこのポーズをとって悪戯っぽく笑ったのか、画家が彼女にもこのポーズをとるように言い、真似してみた彼女の笑いなのか。

わたしはこの絵が好きだ。この次の瞬間には爆笑する彼女が見えるような気がするからだ。




狂人の笑い。




彼はオランダ東インド会社勤務から帰国したばかりの紳士で、多くの経験、冒険談を今にも語り出しそうな、自信に満ちた笑い。




こちらは若く裕福な洒落者。
最新流行の服装をして、気取って微笑む。まさに。


近年になって再評価され、リアリズムや技術的な巧みさは再評価されている。
彼の作品は、当時のオランダの黄金時代の社会の生活や風俗を優れた形で描写している。
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