かわ遊び・やま遊び雑記

アユ・ワカサギ・ヒメマスなどの釣り情報と自然観察や山菜採りなど自然の中で遊び回った記録や雑記

紅葉と環境・・・

2016年11月14日 | 自然観察

私が生まれ育った町は群馬県の西端で、碓氷峠を越えれば長野県なのです・・・今は廃線となった信越線の熊ノ平駅から眼鏡橋周辺の紅葉は見事で、その美しさに感動した高野辰之氏によって明治44年に作られたのが「唱歌 もみじ」なのですが、今年の紅葉は遅れ気味で赤や黄色の錦の鮮やかさが無く濁っているような気がします。

錦秋と言うように紅葉が始まるのは日照時間が短くなって気温が下がる秋なのですが、最低気温が10℃を切り、平均気温も15℃を下回ると落葉広葉樹は根の吸水力が低下してきます。 このまま葉を着けていると蒸発散によって脱水してしまうので乾燥から樹体を守るために落葉して蒸発散を少なくするのです。 ところが葉には光合成をおこなう色素や酵素がたくさんあって樹木にとって大切な栄養素である窒素がたくさん含まれているので捨ててしまわず樹体内に回収する作業が行われます。

この回収作業が紅葉の本当の理由で、秋の紫外線の強い光は生理阻害を引き起こしたり、窒素回収の阻害をしたりしているらしいのですが、クロロフィル(葉緑素)などの光合成色素を分解して光エネルギーを化学エネルギーに変える力を抑えて、光合成の中心的な役割をするルビスコという酵素などを分解して窒素を樹体内に取り戻すのだそうです。 

クロロフィルが分解されてアミノ酸になり葉の中の糖と一緒になって赤い色素のアントシアニンが作られると葉が赤くなるという仕組みのようです。 そしてアントシアニンが出来ずにクロロフィルと同じ光合成色素であるカロテノイドが残っていれば黄色に、タンニンやフロバフェンが多ければ茶色になるということが分かってきました。

紅葉の役割や仕組みの全てが解明されたわけではありませんが、どうも植物にとって大切な窒素などの栄養素を樹体内に取り戻す時に有害な光や紫外線を遮るために紅葉(黄葉)しているという説が有力になってきているようです。 いわば、紅葉(黄葉)は日焼け止めクリーム、またはサングラスの役割をしているということなのですね!

普段は光合成ためエネルギー効率の悪い緑の光を使わないで反射しているから木の葉は緑色に見えるのですが、秋には窒素回収を阻害すると言われている赤や青の光を反射するので、その色の割合で赤や葡萄色、黄色に見えるようです。ちなみにコシアブラなどは全ての光を反射するらしく白くなってしまいますね・・・

一方でハンノキなどはフランキアと呼ばれる根粒菌と共生していて自前で窒素を調達できる樹木は紅葉(黄葉)せずに枯れて落ちるだけなのです。 これらの葉には窒素がたくさん含まれ土壌生物が分解して土壌に戻すと肥料代わりになるのでこれらの樹木を肥料木と呼ぶ所以でもあるのです。

(↓)ケヤマハンノキ・・・

では、年によってなぜ色合いが違うのか? と言うことですが、この理由は解明されていないのですが、よく言われるのが温暖化の影響や大気汚染による土壌の富栄養化などです・・・

(↓)紅葉したイロハモミジ・・・

温暖化の影響は最低気温や平均気温が上がると、光合成を続けたり呼吸が増えて葉に紅葉するために十分な糖が蓄えられないなどの事が考えられ、このためクロロフィルの分解が遅れたりアントシアニンが合成されなかったりすると考えられています。

(↓)葡萄色が強いイロハモミジ・・・

さらに気温が高いと秋伸びが促進されて新しい葉が作られると紅葉が十分にできず先端の葉に紅葉(黄葉)が覆われてしまうことも考えられます。

そして大気汚染による窒素酸化物の供給は一時的に富栄養化を引き起こして秋伸びしてしまい、土壌が豊かになるとキノコである外生菌根菌の伸長が阻害されて外生菌根菌と共生している樹木の活力が低下していることも考えられるのだそうです。

(↓)黄色が強いイロハモミジ・・・

このような様々な原因が複雑に絡み合って最近の紅葉(黄葉)は遅れ気味で、色鮮やかさが失われているのでしょうかね?


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