また、田母神氏は福島出身でありながら今なお原発推進派であり、彼は「20キロ圏内は安全」だと主張しています。
2014y04m05d_001220362
もちろんここで田母神氏が言っていることは嘘であり、原爆投下での直接被爆以外に、その後広島や長崎に入って被曝した「間接被爆」(または「二次被爆」「入市被爆」)と呼ばれる現象が存在しています。田母神氏はそんなことも知らないのです。

しかも「危険か危険でないかを検証すべき」ではなく、「危険ではないことを証明すべき」と言っています。彼がどれだけ結論ありきかよくわかります。

また、田母神氏は今年2月6日の報道ステーションで、

「(福島第一原発の)周辺が危なくて住めないと言っている放射線医学の専門家は世界中に一人もいない」

「住めるにもかかわらず、科学的根拠のないまま『避難しろ』と言ったから生活が滅茶苦茶になった」


と断言しています。

この発言に、一体何の根拠があるのか全く分かりません。調べてみると、もちろんデタラメであることが分かります。

20キロ圏内の放射線量は公表されていますが、とても田母神氏の言うような安全な場所には見えません。
2014y04m05d_004529245
福島県HP
2014y04m05d_004813429
大熊町HP
ご覧の通り、20キロ圏内には線量が毎時5μを超える地域があり、中心である大熊町にはなんと毎時30μを超えるところもあるのです。東京都の放射線量が大体毎時0.05μ程度であることを考えると、600倍です。

ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づいて、日本が定めている「一般人が浴びても差し支えない」としている被曝線量は1ミリ㏜(=1000μ)、原発作業員でさえ「年間最大50ミリ㏜、5年で100ミリ㏜」(つまり年間平均20ミリ㏜)という基準になっています(原子力機構HP)。1ミリ㏜なら、毎時0.114μ㏜、20ミリ㏜なら毎時2.283μ㏜です。20キロ圏内には、原発作業員の被曝線量限度をはるかに超える地域が点在していることが分かります。

また、時々勘違いされることがありますが、ICRPが「100ミリ㏜を越えなければ健康への影響は確認できない」としている100ミリ㏜とは、1年間ではなく生涯での累積です。大熊町のような場所では1年足らずで被曝線量100ミリ㏜に達する可能性が十分ありますし、既に原発の影響を疑わせる小児甲状腺がん患者が出ています(参照)。田母神氏の「福島第一原発周辺が危険で住めないなんて言っている放射線医学の専門家は一人もいない」なんてのは、ただの妄想です。逆に、安全だと言っている専門家を紹介してほしいです。

また、こんなことも言っています。
2014y04m05d_003005047
参照
彼は避難などさせなければ死ぬ人はいなかったと主張したいのですが、それは「20キロ圏内は安全である」という、それこそ何の科学的根拠もない彼の単なる願望に支えられている主張にすぎません。

普通に考えれば、原発事故がなければ避難もなかったのだから、原発の安全性に対する疑問が出てくるだろうに、彼はいまだに原発安全神話を信じていて、事故が起きたにもかかわらず、事故現場周辺まで安全だと思い込み、住民を避難させたことに怒りを感じているのです。結論ありきで現実を歪めているようにしか私には見えません。「科学的根拠なしに住民を避難させた」と言う田母神氏ですが、彼の福島原発周辺安全論こそ、何の根拠もありません。

ぜひ彼には、安全性を証明するために防護服なしで原発周辺で生活してほしいものです。

それに、彼がここで言っている「地震後3カ月もたってから避難」と言っているのは何のことなのでしょう? 最初の非難は3月11日の当日に始まっているのですが、この「3か月後の避難」とは何のことなのか、わかる人がいたらぜひお教えください。田母神氏が何かを勘違いしているんじゃないかという気がしますが。・・・