荻野洋一 映画等覚書ブログ

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ストイコヴィッチを訪ねる

2008-01-29 01:47:00 | サッカー
 週末、愛知県を訪ねて、ドラガン・ストイコヴィッチにインタビューしてきた。名古屋グランパスの新監督に就任してから間もないわけだけれども、神経質な天才肌のイメージが少し薄れ、美丈夫な壮年にさしかかっている感じであった。

 旧ユーゴスラビア連邦時代のユーロ84、対フランス戦で大会史上最年少ゴールを決め、試合後はミシェル・プラティニとユニフォーム交換できたことを、照れで顔を赤らめつつ回顧してくれた。この最年少記録は、2004年大会でウェイン・ルーニーによって塗り替えられることになる。

 また、セルビア空軍がサラエヴォを空爆し始めた1992年、ユーロ92予選をトップで通過し優勝候補と目されつつ開催国スウェーデンに入国したユーゴスラビア代表一行(すでにクロアチア勢やスロベニア勢などが脱退し、実質上セルビアとモンテネグロの混成軍になってしまっていた)が、国連の制裁決議をUEFAが受諾した結果、ストックホルム空港から強制送還された経緯、さらに運命を知ったピクシーが、失望と狼狽のあまり空港のトイレで下痢と嘔吐を繰り返してしまった苦渋の思い出など、縦横無尽に話してくれた。
 もちろん、国際舞台からの締め出しを食った自分たちに代わって代替出場となったデンマークの、予想外の優勝に対する讃美も忘れないのが彼である。

 指導者として未知数のピクシーだが、今シーズンの名古屋グランパスの健闘を祈りたい。彼の師匠筋に当たるイヴィツァ・オシム、アルセーヌ・ヴェンゲルのような高度なサッカーを志向できるだろうか?


P.S.
 インタビューの帰り道、名古屋の「あつた蓬莱軒」にて名物のひつまぶしを食す。美味也(東京の鰻の方が個人的には好きだが)。