遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(490) 小説 希望(14) 他 人間 その生きる目的

2024-03-17 12:41:50 | 小説
            人間 その生きる目的(2020.1.23日作)

  

 人間が地球上に生きる究極の目的は
 人間 各々が 如何に幸福 安穏に生きられるか
 この一点にのみ集約される
 思想も科学も その為に奉仕 利用されるべきもの
 思想の為の思想 科学の為の科学 その
 至上主義は人間社会に於ける邪道
 人の心 人の命 この視点を忘れた思想や科学は やがて
 人類の滅亡 破滅という道へ突き進む事になるのだろう




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              希望(14) 




「そうか、それならそれでいい。だけど、おまえ、この情報は何処から入ったと思う ? いいか、おまえのおふくろから入ったんだぞ。おまえの実の母親が、わたしを焼き殺そうとして火を点けたんです、って言ったんだぞ。どうだ ? それでも火を点けてないって言うのか ? 実の母親が伊達や酔狂でそんな事を言うと思うか ?」
「そんなの嘘です。出鱈目です」
 思わず大きな声を出していた。
「出鱈目 ? 出鱈目でどうして母親がそんな事を言うんだ ?」
 怒りの表情で修二は黙っていた。
「おまえと母親は旨くいってなかったんだろう。母親が男をつくって病気の父親を放り出してしまったのを、おまえは怒っていたんだろう ?」
「そんなの、関係ありません」
「関係ない ? どうして ? おまえは自分達に苦労を押し付けて来る母親が憎くて、そんな母親を焼き殺そうとしたんだろう ?」
「おれはあの時、寝ていたんです」
「おまえは寝ていた。だけど、母親も寝ていたな。しかも酒に酔ってぐっすり眠り込んでしまった。それで、お前が何かの拍子にふっと眼を醒ましても母親は気が付かなかった。傍には煙草の吸殻やライターがそのまま放り出してあった。いろんな書類も散らばっている。おまえが母親への憎しみを募らせてその母親を焼き殺そうとするには、これ以上に好い条件の揃う事は滅多にないな。どうだ ?」
 刑事の言葉は現場を眼にしたかの様にそのままの事実だった。
 修二にはだが、驚きも狼狽もなかった。腹は坐っていた。
「俺が火を点けたっていう証拠はあるんですか ?」
 強気のまま言った。
 母親からのその場の状況の説明を受ければ、誰にでも考えられる事だと思った。
「証拠 ?」
 刑事は思わぬ言葉を聞いた様に修二を見た。
「証拠なんて、何処からそんな言葉を聞いて来た ? 証拠が欲しけりゃそのうち、ちゃんと見せてやる」
 年端もゆかない修二の思い掛けない言葉に刑事は誇りを傷付けられでもしたかのように、軽い怒りを滲ませて言った。
 取り調べは長身の刑事も加わって更に続いた。
 母親が遺産相続で走り回っている事。母親の男関係。病気の父親を看病していた時の母親の様子。修二と祖母の事。修二が働いていた製材所での日常や母親の下(もと)を逃げ出した火事の夜の事。そして、マスターの店で働くようになった経緯(いきさつ)など、刑事達は脅したり賺(すか)したりしながら、執拗に探りを入れて来た。世間話しの様に話していたかと思うと急に恫喝的になったりした。
「もう、そろそろ、本当の事を喋ったらどうだ ? しぶとい野郎だなあ」
 修二はその頃には疲れ切っていた。
 早くこの場から逃げ出したいという思いだけが強くなっていた。
 何度もマスターの店で働いている自分の姿が頭を過ぎった。
 その生活が夢の中の事の様に思えて明るい色彩の下に懐かしく思い出された。
 息苦しく閉塞感を伴って迫って来るこの部屋と刑事達。
 自分が永久にこの部屋から出られないのではないか・・・・そんな気がして来て気分が滅入った。
「居眠りをするな ! 馬鹿野郎」
 年上の刑事が怒鳴った。
「居眠りなんかしてません」
「今、船を漕いでいたじゃないか」
「眼を瞑っていただけです」
 時折 、どちらかの刑事が席を外した。
 修二だけが絶え間ない言葉の攻撃を受けて休息も与えられなかった。
「くたびれたんだろう ? 本当の事を言え。そうすればすぐに帰してやる」
「俺はやってません」
「やってない、確かにそうなんだな。やってないんだな ?」
「やってません」
「よし、分かった。そんなにおまえが言うんなら、今日はこれで帰してやる。だけどいいか、これで終わったと思ったら大間違いだぞ。この次は、ちゃんと証拠を見せてやるから、何処へも逃げないであの店に居ろよ」
           
 修二が警察の建物を出た時には午後五時を過ぎていた。
 長い時間、白い壁だけに囲まれた部屋に居たせいか方向感覚が分からなくなっていた。
 少し歩いてタクシーを拾うと「北裏町の味楽亭」と告げた。           
 タクシーの運転手にはすぐに分かった。
 修二はタクシーを待たせておいて二階へ上がりタクシー代を取って来た。
「警察は何んだって ?」
 店に戻った修二にマスターは言った。
 店内は混んでいた。女将さんも鈴ちゃんも忙しそうに働いていた。
「家の事でちょっと聞かれたんです」
「おふくろとの事か ?」
「はい」
 マスターはそれ以上の事は聞かなかった。
「今まで警察に居たの ?」
 背中を見せて洗い物をしていた女将さんが顔だけ向けて聞いた。
「はい」
「お昼御飯は ?」
「まだです」
「じゃあ、向こうへ行って何か食べなさい。お腹空いたでしょう」
 女将さんは同じ姿勢のまま言った。
「大丈夫です」
 修二は言ってすぐに仕事の支度に掛かった。

 その日、修二は店が終わるまでの時間をいつも通りに働いた。
 マスターも女将さんも鈴ちゃんも普段と少しも変わらなかった。
  警察に呼ばれた不快な思いも忙しく働いているうちに忘れた。




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              takeziisan様


               春の気配 花々の美しさ 嬉しい限りですが また寒さが戻るとか
              気温の激しい変化に身体が追いつきません なんだかこの所
              体調不良ーーとまではゆかないのですが 身体がシャキッとしない
              力が入らない感じでシャキシャキと動く事も出来ません
              やはり老化現象 ? 年々 肉体の衰えが顕著になって来る気がします
              一年と言えない 母親が口にしていた言葉が実感として迫って来ます
              ウォーキング九千二百歩 厳しさが実感されます
               雑草の山 あれも駄目 これも今一つ              
              一口に農業と言っても その厳しさ 難しさが改めて想像出来ます
              今年の野菜の高値 消費者に取っては不満ですが
              農家の方々に取っては不満どころではなく 頭の痛い問題なのではと
              改めて思わされます
               何事もただ新聞ラジオテレビ等でペラペラ気軽に喋って
              言いたい放題の事を言って居る人間達には分からない苦労が
              実践者には付きまとうものだと改めて実感されます
               フキノトウ 今頃 ? という 思いです         
              当地では前にも書いたと思いますが 二月頃だったかに収穫しました
               アラスカ魂 随分昔に観た映画でストーリーも曖昧ですが
              ジョン ウェインとしては西部劇ではない所に新鮮さを感じたのを覚えています  
               山頂に立つ快感 画面からも伝わって来ます      
               好いですね 改めて病み付きになる人の気持ちが分かります
               口の着く言葉 口数が多いですね
               今回も面白く拝見させて戴きました
               有難う御座います

































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