あんたはすごい! 水本爽涼
第ニ百二十三回
いつぞやとは、私が沼澤氏と二度目に出会った頃だから、随分と前のことになる。沼澤氏の言動はその頃と似通ったところがあった。
「はい、…こうですか?」
ママの姿を沼澤氏は水晶玉を通して窺(うかが)い見た。この光景も私は見憶えがあった。そうだ! やはり、いつぞやと同じなのだ。沼澤氏は目を細めながら小声で呪文のような長文を語り始めた。これもあの時と同じ祝詞(のりと)のような、そうでもないような長文であった。そして、云い終えた沼澤氏は、静かにママを見つめ直した。ここまでは私の記憶が正しければ、ほぼ、あの時と同じように思えた。
「皆さん、有難うございました。玉のお告げがありました。玉が申すには、こういう金儲(もう)けでない場合は答えようということです。やはり、辻占いで稼ごうと考えた私の判断が間違っておったようです。あっ! ママさんのお告げは語るほどのこともないようです」
「あらまあ! どういうことですの?!」
ママは、いくらか怒り口調で沼澤氏に詰め寄った。
「いえ、誤解なきように…。語るほどのことがないとは、すべてが順調だ、いうことですよ。どんどん、いいことが起こる兆(きざ)しです」
「あら! そういうことですか? な~んだっ」
ママは単純に解釈して、ニコリと笑顔を見せた。
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第ニ百二十三回
いつぞやとは、私が沼澤氏と二度目に出会った頃だから、随分と前のことになる。沼澤氏の言動はその頃と似通ったところがあった。
「はい、…こうですか?」
ママの姿を沼澤氏は水晶玉を通して窺(うかが)い見た。この光景も私は見憶えがあった。そうだ! やはり、いつぞやと同じなのだ。沼澤氏は目を細めながら小声で呪文のような長文を語り始めた。これもあの時と同じ祝詞(のりと)のような、そうでもないような長文であった。そして、云い終えた沼澤氏は、静かにママを見つめ直した。ここまでは私の記憶が正しければ、ほぼ、あの時と同じように思えた。
「皆さん、有難うございました。玉のお告げがありました。玉が申すには、こういう金儲(もう)けでない場合は答えようということです。やはり、辻占いで稼ごうと考えた私の判断が間違っておったようです。あっ! ママさんのお告げは語るほどのこともないようです」
「あらまあ! どういうことですの?!」
ママは、いくらか怒り口調で沼澤氏に詰め寄った。
「いえ、誤解なきように…。語るほどのことがないとは、すべてが順調だ、いうことですよ。どんどん、いいことが起こる兆(きざ)しです」
「あら! そういうことですか? な~んだっ」
ママは単純に解釈して、ニコリと笑顔を見せた。