あんたはすごい! 水本爽涼
第ニ百四十三回
しかし私は、煮付(につけ)先輩の携帯で興冷(きょうざ)めしていた。まったく飲んでる相場の話ではなかったからだ。
「文科省と私に、いったいどういう関係が?」
「ああ、それだ。実は、ここだけの話なんだが、小菅(こすが)さんは首班指名されれば地球語の開発提言を全世界へ発信したいとお考えなんだよ」
「ええっ! 地球語って何です?」「いやあ、これは話せば長くなるからな。…要は、国や民族を越えて人間なら誰でも通じる地球の言葉だよ。世界の言語学者が一堂に会して国連のユネスコなどの機関で特別プロジェクトを組み、共同開発するというものだ」
「わあ~、偉(えら)くスケールのでかい話ですね」
ママが水割りのおかわりを前へ置き、私の話を興味深そうに聞いていた。
「あっ! どうも…」
「んっ? どうかしたか?」
「いえ、こっちの話です」
「そうか…。それで、出来た言語は世界各国で教育システムに取り入れて必修にする・・と、まあ、こういう訳だ」
「すると、どこの国でも通じる言葉って訳ですか?」
「ああ、そうだ。結果として、国連総会などの同時通訳、国と国との首脳会談などもスムースにいく、って寸法だ」
「なるほど!!」
アイデア的には最高で、私は少し乗ってきた。