水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第二百四十二回)

2011年02月23日 00時00分01秒 | #小説
 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第ニ百四十二
その時、胸の携帯が激しくバイブした。こんな時間に電話とは…。私にしては珍しかった。
「煮付(につけ)だよ。しばらくぶりだなあ~。どうだ、元気にしてるか?」
「わあ~、先輩でしたか。どうも、ご無沙汰しています。どうかされました?」
「んっ? まあな。…カラオケか? 偉(えら)く賑(にぎ)やかじゃないか」
「ああ…今、行きつけのスナックですから」
「なんだ、そうか…。なら、あとからにしようか?」
「いえ、別に…」
「いいのか? それなら簡略して云っておく。詳しくは孰(いず)れまた、ということに…。それじゃ、さっそく用件だがな、この前と同じだ」
「えっ? この前って…。内閣はもう終わったんですよね?」
「それがだ…。小菅(こすが)内閣がまた復活しそうな雲行きなんだ」
「まさか…。それは本当ですか?」
「お前に嘘を云ってどうする。まあ、いろいろ、あってな」
「そうでしたか。…それで、私にどういった?」
「今度は文科大臣だ」
「文科大臣? 文科大臣って文部科学省のですか?」
「ああ、その文科省だ」
 私はしばらく絶句した。ママが怪訝(けげん)な顔でこちらを見ていた。カラオケ連中はお構いなしに盛り上がっていた。

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