あんたはすごい! 水本爽涼
第ニ百五十九回
「いや、それにしても、今お聞きしたお考えは壮大なスケールで驚かされました。実に素晴らしいです。小者の私にでも出来ることがあればお手伝いいたしますから、何でも云って下さい」
『いえ、小者などと…。あなたの霊力も日々、向上していますから、もう小者などではありませんよ。自信をお持ち下さい』
「…そうでしょうか?」
『ええ…。あっ! ついうっかり長居をしてしまったようです。お疲れのところ、申し訳ございません。今日のような日は、お邪魔しない方がよかったですね。どうしても話しておかねば、と思ったもので、ご迷惑も考えず…』
「いいえ、迷惑などとは…」
そう紋切型に否定はしたが、やはり九時過ぎまで総理と話していたからか、私はかなり疲れていた。そこへ加えて、食べたパスタですっかり腹が満たされ、ワインのせいもあってか少し眠くなっていた。
『それじゃ、今夜はこれで…』
玉に分からないことはないと、いつか云われたのだが、確かに私の体調の変化を克明に玉は透視しているかのようであった。お告げが遠退いたあと、私は食べ終えた器とグラスを片づけ、シャワー室へ行った。湯を浴びるとすっかり気分もよくなり、テンションも高揚した。その後、別に何をするでもなく寝室へと入り、そのまま眠りについた。