あんたはすごい! 水本爽涼
第ニ百七十三回
『ええ…。大玉様も憂(うれ)いておられましたよ。すこし豊かにしてやると、人間は皆、これじゃ…と』
「そんなことを? …まあ、それが人間なんでしょうけどねえ。人間の私が云うのも、なんですが…」
『ははは…。[私が云うのも、なんですが仲間]ですねえ、私達は』
お告げと私は、いつの間にかすっかり意気投合していた。
「それで、どうすればいいのでしょうか?」
『まあ、あなたはあなたに与えられた職務を、ただ忠実にやっておられればいいんじゃないでしょうか。すべては大玉様がお考えのはずです』
「分かりました。そうさせてもらいます。…少し冷えてきたようですね。また、ひとっ風呂、浴びるとしましょう」
『はい、湯治(とうじ)を堪能(たんのう)してください。それじゃ、これで…。また何かあれば、出て参ります』
「お忙しいところを、どうも…」
『ははは…、人間じゃないので、とりたてて忙しくはないのですが…』
「そうなんですか?」
『忙しいという感覚は人間独特の感覚ですよ。霊界には一切、ございません…』
「それは、いいですね」
『いいかどうかは別次元のお話ですが…。霊界とは、そのようなところですから…』
霊界談議の心話を終え、私達は別れた。…別れたというのも妙な云い回しなのだが…。