生活を日々、続けていると、同じような動きをしていることがよくある。なぜか? という疑問が湧(わ)くほど自分でも気づかないことが多い。こうした定まった型(かた)を、人はパターンと呼ぶ。お笑い芸人さんのギャグなんかもその類(たぐ)いだが、日常の私達の暮らしでもよく見られる光景だ。いいパターンならいいが、いつもの深酒・・などという悪いパターンは慎(つつし)みたいものだ。^^
とある繁華街にあるデパートである。毎年、年初めに売られる福袋を求め、多くの客が押し寄せてごった返している。客達が取り合う様子を野次馬のように二人の男が上の階段から見下ろしている。
「どうなんです?」
「なにが?」
「このパターンですよ。これって、いいんですかね?」
「…ああ、福袋セールですか。まあね、年明けの相場としたもんですしね」
「誰が始めたんでしょう?」
「そんなこと、私に訊(き)かれても…」
「まあ、そりゃそうですが…」
「そういや、私らも毎年、ここへ来てますね。これも、お決まりのパターンでしょうか?」
「そういや、そうですね。除夜の鐘が撞(つ)かれ始めた頃、お寺とお宮さんへ初詣し、その足でうどん屋のかけうどんを食べ、前の汁粉屋へ寄り、銭湯でひとっ風呂(ぶろ)浴(あ)びて、ここでしょ?」
「毎年、そのパターン、変りませんなぁ~、ははは…」
「ははは…有り難いことです」
「さようで…。来年もこのパターン、続けばいいですがな」
「続きますとも! いや、健康や諸事に気をつけ、是非、続けましょう!」
「そうですな…」
二人が話している間に、階下の福袋は完売し、客はすでに立ち去っていた。二人は、それを見届け、毎年のパターンで封切り映画館へと向かった。
封切り映画館へは福袋の完売を見届けなくても行けるのに…という疑問が残るが、人が理屈(りくつ)抜きでそうするのがパターンなのである。^^
完