水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -71- 過剰(かじょう)

2025年01月31日 00時00分00秒 | #小説

 過ぎたるは及ばざるがごとし・・とは、古い格言である。物事の過剰(かじょう)は、どのようなことにしろ、しない方がよかった…と、なる訳だ。^^ 最近の世相を見れば、報道、法律、健康、暮らし、プライバシー、その他と、過剰による弊害が巷(ちまた)に溢(あふ)れているのは困ったことです。^^
 有名男優の中迫(なかさこ)は、自分を取り巻く過剰なまでの報道に窮していた。有名人になったばかりに…と、中迫は売れなかった頃の自分を思い出し、懐かしく思った。あの頃はよかった…と、心底から思えたのである。確かにあの頃は金には困っていた。困ってはいたが、プライバシーをマスコミから突(つつ)かれることもなく、生活は自由だった…と中迫は回顧した。売れないから金も入ってこなかったが、逆に突かれることもなかったのである。中迫は思った。それにしても最近は、異常なまでに情報過剰になっていると…。緊急地震速報で観たかった番組が取り消されたのには腹が立っていた。
『まあ、仕方ないか…』
 中迫は、そんな過剰な世間の中で生きねばならないのも仕方ないと諦めて、深いため息を一つ吐いた。
 中迫さん、過剰な世相ですが、まあ仕方がないですかね。^^

                   完


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