水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -66- 思い立ったが吉日

2025年01月26日 00時00分00秒 | #小説

 最近の世相は、出来るときにしないと、後々(あとあと)出来なくなることが増えている。それだけ、世の流れが速まり、慌ただしくなったからに相違ない。後の祭り・・という事態が多くなったのである。
 立華(たちばな)は明日(あす)、旅に出ることを、ふと思い立った。かねてから思い描いていたのだが、その行為をいつ実行するか? までは深く考えていなかったのである。その行為とは、とある国宝の建造物の撮影だった。思い立ったが吉日…という発想が、メラメラと立華の心に芽生えた。
『と、すれば、〇〇:〇〇の列車に乗らないとダメだな…』
 時刻表ネットで検索し、〇□:◆▲発→◎◇:△▽着という詳細な時刻をメモった。さらに現地へ到着後のゆとり時間を考え、×■:▼●には現地から列車に乗らないと、その日の明るい内には戻れない…と、詳細な計算を立てたのである。
『あとは野となれ山となれっ!』
 そう心に深く決断し、気象の確認、綿密な準備etc.を整えた立華は翌朝早く家を出た。アクシデントやハプニング[事故による列車の延着、現地でのトラブル]は考えず、将棋で指される棒銀の行動だった。
 時は巡り、夕刻である。目的を達成し、無事、帰宅した立華は満足げにひと息、吐(つ)いた。
 その場の、ふとした思いつきではなく、以前から考えていた行動は、条件さえ整えば、思い立ったが吉日・・で、実行した方がよさそうです。^^

                   完


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