水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -63- 狭い

2025年01月23日 00時00分00秒 | #小説

 世間は狭い・・などと、よく言われる。最近の世相は特に狭くなったように思える。その原因は、社会が以前より情報化が進んだ世相へと変化しているからと考えられる。良い報道ならともかく、悪い報道が世間に早く伝わるのは、いかがなものか…などと、偉そうに思ってしまう訳だ。^^
 とある年の国会である。テレビで衆議院の審議が中継されている。
「底鍋議員の持ち時間の範囲内で、関連質問を許します。傘骨議員っ!」
 雨漏委員長の穏やかで陰気な声が響く。狭い委員会室の中だけに重苦しさが増す。
「底鍋議員が申されましたように、食糧自給率が今のままでは益々、低下すると考えられますが、どのようにお考えでしょう?」
「農林水産大臣、芋根植男さん…」
「我が国の食料自給率は、カロリーベースで38%と40%を下回っておりまして、今後の増産への努力が必要となっております」
「傘骨さん…」
「狭い国土の中で、どのような増産計画がお有りなのか、また、増産のための農業援助のお考えを御伺いいたします」
「農林水産大臣、芋根植男さん…」
「先に配布いたしております資料のとおりであります…」
 委員会室に覇気のない質疑応答が続いていくのでした。
 狭い日本、国民を飢えさせない食糧自給率70%以上を目標に、努力して欲しものです。^^

                   完


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