水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -45- 圧力

2025年01月05日 00時00分00秒 | #小説

 サッカーでは、相手チームの選手にプレス[プレッシャー]をかける・・などと表現するが、要するに、ボールを蹴る相手チームの選手に圧力をかけて前進を阻(はば)む・・ことを意味する。
 どこにでもあるような、とある普通家庭の居間である。中年夫婦が語り合っている。
「検察は政府上層部の立件を無理と見たようだな…」
「まあ、それでも思い切ってやった方よ…」
「過去の疑獄事件で、『検事総長を指揮します』なんてのもあったな…」
「あった、あった! 法務大臣が闇の圧力で指揮権発動したやつね。懐かしいわっ!」
「今回は政治資金パーティの還流分が収支報告書へ記載されてなかった、というだけの話だが、大ごとになっちまったな…」
「パーティ収入の還流自体は罪にならないのよね…」
「そうそう。還流分を記載しなかったのが罪って話だ。検事もそう言ってる…」
「今回も法曹界に圧力が、かかったのかしら?」
「その件に関しまして、私(わたくし)は一切、存じ上げません…」
 見えない圧力が密かに今の世相の全方向へ蔓延(はびこ)ころうとしているようですね。^^

                   完


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