ここ数年の世相で感じられるのは、どうも人の動きに元気がない…と思えることだ。ということは、病気なの? となるが、どうもそうらしい。世界の二か所で争いが生まれていることは誰もが分かるはずである。そんなことを考えながら村尾は怒りながら歩いていた。別に怒りながら歩く必要もないのだが、村尾は怒っていた。村尾が怒っても世界の二か所で起きている争いが止まる訳でもないのに、村尾は偉そうに怒っていたのである。
「やあ、村尾さん!」
スクランブル交差点を通り抜けようとしたとき、知人の町前が近づいてきて後ろから声をかけた。
「ああ、町前さんでしたか…」
村尾は慌てて振り返り、返事した。
「元気そうでなによりです…」
「いや、あなたも…。今日は?」
「ははは…孫の迎えで幼稚園まで…」
「そうでしたか…。私は婆さんの代わりで買物を…」
「では…」
町前が反対方向に消えると、村尾はスーパー目指して歩き出した。村尾が思うのは最近、人の動く姿に元気さが消えた…ということだった。人々は元気なのである。だが、なぜか元気さが前とは違って見えたのである。
『景気のせいか…』
活気さが消えたのは景気が余りよくないからかも知れない…と村尾は思ったのである。村尾は、景気が悪いのなら景気をよくしよう…と偉そうに思った。
村尾さんが偉そうに思っても世相が元気になることはないのですが、一人一人が、よくしよう…とポイ捨てをやめれば、よくなるかも知れませんね。^^
完