十年日記を付け始めてもう三冊目。
親父が亡くなる直前に始めたから、出だしは強烈だった。
女房と二人で始めたのだが、二冊目の終盤で女房の癌が見つかった。
二冊目の最終年には摘出手術が行われた。
それをきっかけにして、今まで女房が購入していた日記を私が買うことにした。
兎に角、生きていてくれというおまじないみたいな物だった。
三冊目の日記はお互い書き綴って、2年目を迎えている。
これが最後の日記帳だろうな、と思いながら。
私の日記は『何をした』しか書いていないから実につまらん。
「短くてもいい、強烈な人生を生きたい。」
二十歳前はそんなことを言っていたのに、
七十を目前にして「だらだらと平凡な人生を過ごしている。」
高校生の頃の気持ちを、まだ持ち続けているって。
それは、幻だな。