文七元結。ぶんしちもっとい。
左官屋の長兵衛が、娘のお久が女郎になるのから救うための五十両を、通りすがりの身投げしようとする文七にあげちゃう、って人情噺。落語や歌舞伎にもなる。
長兵衛は、娘が女郎になりさがるリスクを知りつつも、眼の前の文七の身投げを、見捨てることができなかった。
かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂
吉田松陰の句にそっくりな精神。江戸っ子の、咄嗟の、惻隠の情。意地っ張り。
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私が家庭連合案件を引き受けたのも、この「文七元結」だなと合点した。
家庭連合案件を引き受けたら、一生、「アイツは統一教会の味方をした」ってレッテルを貼られるだろう。
それくらいは覚悟していた。
けれど、眼の前で、誰にも弁護されなくて困っている団体を、放っておけなかった。
文七に五十両を渡しちゃった長兵衛の心意気が、今の私にはよく分かる。