本日9月17日は、『日本三代実録』が完成した日で、ミュリオケファロンの戦いでルーム・セルジューク朝が東ローマ帝国に勝利した日で、織田信長が斎藤龍興の居城だった稲葉山城に移り岐阜城と改称した日で、ハノーファー選帝侯ゲオルク・アウグストがゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンを創設した日で、フィラデルフィア憲法制定会議がアメリカ合衆国憲法(案)を策定して散会した日で、ロシア帝国とスウェーデン王国がフィンランド戦争の講和条約「フレデリクスハムンの和約」を結んだ日で、ジョシュア・ノートンが自らを「合衆国皇帝にしてメキシコの庇護者ノートン1世」と宣言した日で、日清戦争の黄海海戦が行われた日で、ナチス・ドイツのポーランド侵攻に呼応する形でソ連赤軍がポーランド東部に侵攻した日で、瑞穂村開拓団集団自決が発生した日で、北朝鮮漁船が日本への亡命をはかった平新艇事件が起こった日で、エジプト大統領アンワル・アッ=サーダートとイスラエル首相メナヘム・ベギンがキャンプ・デービッド合意に調印した日で、ロシア軍がポーランドから完全撤退した日で、日本の小泉純一郎首相が訪朝して日朝首脳会談が行われて朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記が拉致事件を公式に認めた日で、プロ野球再編問題での労使交渉が決裂して日本プロ野球選手会が日本プロ野球史上初のストライキ決行を発表した日です。
本日は倉敷は曇り時々雨でありましたよ。
最高気温は二十八度。最低気温は二十二度でありました。
明日は予報では倉敷は曇りとなっております。
其の夜の月は紺碧の空の幕から刳り貫いたやうに鮮やかだつた。
夜露に濡れた草が地上に盛り溢れさうな勢ひで野を埋めてゐた。
『お歸んなさい。歸つて下ください』
『いえ。私はもう歸らないつもりです』
『どこまで人を困せようと言ふんです。貴女だつて子供ぢやああるまいし』
草の中に半身を沒して、狐と先輩は言ひ爭つてゐた。
先輩は激しく何か言ひながら、搖ぶるやうに狐の肩を幾度も小突いた。
『否。私はあなたが何と仰有つても、あなたに隨いてゆくのです。それより他に私の行く道はないんです』
先輩は狐の眼を眼鏡の中に見つめながら言ふのだつた。
『馬鹿なツ。隨いてゆくつたつて、何處へ行くと言ふんです?』
『何處までゝも――けれど、それがもしあなたの御迷惑になるとでも仰有やるなら、私は此處でお訣れします。でも家へはもう歸へらない覺悟です』
先輩は少し冷やかに言ひ放つと、蒼醒めて俯向むいた。
二人の間に、暫く沈默が續いた。
まぢかよ。先輩は今宵、私の部屋に押しかけるつもりだ。狐は震撼した。
私の部屋は本の山で足の踏み場が無い。何としても阻止せねばなるまい。
狐は心を鬼にして先輩のおねだりを拒む決意をした。
『ね。解つて下ださい。先輩はもう酔つぱらつていますよ。歸つた方が良いです』
『知つてます、そんなこと』
『それにです。明日は先輩はお仕事で朝が早いのでしょう?』
『みんな、よく私は解つてゐるんです』
『早く歸つた方が良いです』
『あなたは私を輕蔑してらつしやるのね?』
『何言つてるんですツ』
『だってあなたは私がやつぱし男女関係なく襲いかかる女で隙あらばあなたを喰つてしまおうと目論んでいると思つているのでしやう?』
『さうぢやない。さうぢやないです……』
『いえ。あなたは私といふ女があなたに隙あらば襲いかかろうと目論んでいる厄介な女だと思つて……。その癖に今まで……』
『昂奮しないでお聽きなさいツ。そんなことは思つていません』
『本当に思つていないの? それはそれで悲しいわ』
『勘弁してくださいよ』
『これから二人で嶮しい文字通りの荊棘の道の目くるめく甘美な世界を生々しい現實として歩んでみない? 激しい熱情に身を投じてみない?』
『もうお歸んなさい。歸つて下ください』
二人の爭ひは、際限もなく續いた。
さうして夜は更けて行つた。