惨劇は突然起きる訳ではない。
そんなことがある訳ない。
それは実はゆっくりと徐々に用意されている。
進行している。
アホな日常
退屈な毎日のさなかに。
それは―
そしてそれは風船がぱちんとはじけるように起こる。
ぱちんとはじけるように起こるのだ。
『リバーズ・エッジ』/岡崎京子
昨日の夜は、映画『リバーズ・エッジ』のDVDを観ていました。
女子高生の若草ハルナは彼氏の観音崎にいじめられている同級生・山田一郎を助けたことをきっかけに、一郎からある秘密を打ち明けられた。
それは河原に放置された人間の死体だった。
山田は、「この放置された死体を見るとほっとする」と言う。
ハルナの後輩でモデルの吉川こずえも、この放置された死体を眺めに時々やってくる。
ある日、放置された死体がある河原に大金が埋まっているという噂が学校中に広がって……。
監督は、行定勲。
出演者は、二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵、安藤輪子、富山えり子、松永拓野、西田尚美、など。
原作は、岡崎京子の傑作漫画『リバーズ・エッジ』です。
私は、岡崎京子様の漫画『リバーズ・エッジ』が大好きなので、どうしてもこの映画を観る目が辛めになってしまいます。
今、この漫画を実写化する意味を突き詰めて考えて映画化して欲しかった……。
日常のほんのすぐそばにある惨劇の種。
多くの人が気が付かないうちに通り過ぎているその脇には多くの落とし穴が存在している。
華やかに能天気に楽しく見えるものもそう見えているだけで実際にはそうではない。
この不安定さの中を生きることを見事に描いた原作の漫画を実写化するのならば、漫画のエッセンスを抽出すべきなのです。
この映画の設定は原作の漫画で描かれた年代なのかそれとも現代なのか?
それをはっきりと明確に示すべきだと私は思うのです。
それをあいまいなままでこの物語を描いた為に、特殊な人達が惨劇を経験した、と観る人に思われてしまったら失敗です。
誰にでも有り得るお話であると思わせなければならないのです。
嫉妬に狂う欲望に狂うその様が自分達にもあると思わせる必要があるのです。
この映画は原作のエッセンスを抽出して見事に描いたと言えるのか? 私はそのことに疑問を抱いたのです。
かなり特殊な高校の生徒達の感情と欲望のもつれ合いのドラマと思えたのです。
でも私がそう感じただけなのかもしれません。
悪くはないのだけれども「う~ん?」となってしまった映画でありました。
原作の漫画が大好きな漫画なので残念でありましたよ。