本日7月6日は、テーバイを中心とするボイオティア同盟軍がスパルタを中心とするペロポネソス同盟軍を破った日で、北条泰時・時房の鎌倉幕府軍が後鳥羽上皇方を破って京都を占領して常駐を始めた日で、トマス・モアが外患罪で処刑された日で、寛政異学の禁がはじまって昌平坂学問所で朱子学以外の学問の教授が禁じられた日で、ルイ・パスツールが自身が開発した狂犬病ワクチンを初めて人間に接種した日で、ハワイ王国国王カラカウアがアメリカ系移民の蜂起に押されてアメリカ人の権利を大幅に認めハワイ国民の権利を奪う銃剣憲法に署名した日で、日本統治下の台湾・台南庁で抗日武装蜂起が起こった日で、ファイサル・イブン・フサインと英軍将校トーマス・エドワード・ロレンス率いるオスマン帝国への反乱軍がアカバを奪取した日で、安田善次郎寄付による東京大学安田講堂が完成した日で、社会大衆党が解党して大政翼賛会に合流した日で(社会主義者が陸軍統制派や革新官僚に迎合・接近して国家全体主義の社会を作っていったのだけれどもそのあたりのことは日本の今のリベラルの人はスルーしてるよね。都合の悪いことをスルーするなら信用されないよ)、行方不明となっていた国鉄総裁の下山定則が轢死体で発見された日で、終戦を知らずにマリアナ諸島アナタハン島で暮らしていた元日本兵19人と女性1人が帰国した日で、日比両政府がフィリピンのモンテンルパ刑務所に収監されていた日本人戦犯106名の減刑・釈放に合意した日で、東京・天王寺の五重塔が放火心中により焼失した日で、リクルートコスモスの未公開株の譲渡先が首相の竹下登ら政府・自民党要人に及んでいたことが判明した日です。
本日の倉敷は晴れでありましたよ。
最高気温は二十九度。最低気温は二十三度でありました。
明日も予報では倉敷は晴れとなっております。
或る夜の事。
狐は先輩と一緒に或るパブリック・ハウスのカウンター席に腰をかけて、絶えず氷入りのミルクを舐めてゐた。
狐は余り口をきかなかつた。
しかし先輩の言葉には熱心に耳を傾けてゐた。
「君はお茶を濁すという言葉を知つているかね?」
知つていますよ。
「今回はネタが無いのだ。故に御茶を濁さななければならない。我等は其のような状況なのだ」
メタ発言はやめてください。
「正確にはネタを考える時間が無いのだ。しかしお座敷にかかつているのだ。The Show Must Go On。ネタが無いまま即興で演じなければならないのだ。故に御茶を濁さなければならない。我等は其のような状況なのだ」
だからメタ発言はやめてください。皆様が吃驚しますよ。
「仕方がないではないか。ネタが無いのだ。ネタが無いままネタを何とか捻り出そうとしているのだ。其の様を御覧いただくのも一興ではないか。御茶を濁すというのはどのような事なのか御覧いただくのも一興ではないか」
だからそんな裏事情は隠して何とかネタを捻り出して知らん顔をしているのがエレガントというものです。メタ発言はやめてください。
「ふむ」
続けてください。The Show Must Go Onです。
「ふむ。ところで君、知つているかね? 頭が良いふりをするのは簡単だ。しかし莫迦になるのは難しい」
先輩は頬杖をした儘、極めて無造作に私に述べた。
「この意味が君に分かるかな?」
先輩は割賦を掲げて中の御酒を見詰めた。
私はあんぽんたんなので分かりません、と狐は答えた。
先輩はお喋りを止めて考え込んだ。
狐の言葉は先輩の心を知らない世界へ神々に近い世界へと解放したのかもしれない。
狐はカルーアを注文し、割賦の中で氷入りのミルクと混ぜ合わせてカルーア・ミルクを作り、舐めた。
先輩は言つた。
「ふむ。それでよい」
何がよいのか? 狐にはさつぱり理解できない。
狐は何か痛みを感じた。が、同時に又歓びも感じた。
人の考えとは、様々なものであるな。面白ひものだ。
そして御茶は濁せたのだろうか? 狐は疑問に感じた。
其のパブリック・ハウスは極小さかつた。
しかしパンの神の額の下には赫い鉢に植ゑたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしてゐた。