本日7月17日は、北アフリカのスキッリウムでキリスト教徒20人が殉教した日で、蘇我馬子が穴穂部皇子を暗殺したとされる日で、日本初の元号「大化」が制定されたとされる日で、配流されていた隠岐島から脱出した後醍醐天皇が京に到着した日で、靖難の変で勝利した燕王朱棣が明の皇帝に即位した日で、加賀一向一揆で加賀国の守護の富樫政親が殺害された日で、摺上原の戦いが行われた日で、徳川秀忠の五女・和子が後水尾天皇の女御として入内した日で、シャン・ド・マルスの虐殺が起こった日で、ペリー率いるアメリカ艦隊が江戸幕府からの国書回答猶予要請を受けて浦賀を出港した日で、牧田らく・黒田チカの2人が東北帝国大学理科大学を卒業した日で、ロシア・エカテリンブルクのイパチェフ館に監禁されていた元ロシア皇帝ニコライ2世とその家族らがボリシェヴィキにより銃殺された日で、中国国民党の蒋介石と中国共産党の周恩来が会談して抗日決戦で合意した日で、英首相ウインストン・チャーチルと米大統領ハリー・S・トルーマンとソ連共産党書記長ヨシフ・スターリンがドイツのポツダムで会談して戦後処理と日本の降伏条件について話し合った日で、「もはや戦後ではない」の文言が記された『経済白書』が発表された日で、プロ野球オールスターゲーム第1戦で全セ先発の江夏豊が9者連続奪三振を達成した日で、今井通子がグランド・ジョラス北壁に登頂して女性初のアルプス三大北壁登頂を達成した日で、アフガニスタン国王ザーヒル・シャーが病気療養のためイタリアに滞在中に従兄弟のムハンマド・ダーウード元首相がクーデターを起こして国王を廃位した為にザーヒル・シャーはそのままイタリアに亡命した日で、ひめゆりの塔を参拝した皇太子明仁親王と美智子皇太子妃に新左翼党派・沖縄解放同盟準備会と共産主義者同盟の各メンバー2人が火炎瓶を投げる事件が発生した日で、FIFA2011女子ワールドカップ決勝戦で日本代表がアメリカ代表をPK戦で藪って初優勝を飾った日です。
本日も倉敷は晴れでありましたよ。
最高気温は三十一度。最低気温は二十四度でありました。
明日も予報では倉敷は雨となっております。お出かけの際はお気をつけくださいませ。
私は書痴である。
名前は狐。
倉敷で生まれ倉敷美観地区で育つた。
生まれた時の事は頓と見當がつかぬ。
何ても暗薄いじめじめした所でこんこん泣いて居た事丈は記憶してゐる。
始めて本といふものを見て讀んだ時の事は全くもつて覚えてゐない。
後で聞くと、絵本といふ一番子供向きの本を只管一心不乱に讀んでゐた幼児であつたさうだ。可愛げがない。
此絵本といふものは幼児を魅了して本好きにしてしまふといふ恐ろしいものであるといふ話である。
然し、其の當時は何といふ考えもなかつたから別段恐しいとも思はなかつた。
但、美しい絵と楽しいお話に夢中になって何だかふはふはした感じが有つた許りである。
幼稚園の年長さんになつて少し落ち着いた頃が所謂本というといふものゝ讀始であらう。
此の時、讀書は面白ひものだと思つた感じが今でも殘つて居る。
第一事実を以て事実を伝へる手段である筈の文章が嘘で構成されていることにわく/\して丸で滑稽に思へた。
其の後、本を大分讀んだけれどもあの當時のわく/\した感覚を齎した出會は滅多にない。
加之嘘が真に迫って居る。
さうして真に迫つた其の嘘の中からどき/\のお話が展開される。
どうも夢中になってしまって讀むのを止める時が分からなくなつて實に弱つたものだ。
是が書痴の初期段階といふものである事は漸く此頃知つた。
其の衝撃が私の運命を大きく変えてしまつた。
其の衝撃から世界はまるで開き直つたかのごとく其の装いを変えてしまつたのだ。
いつもと同じ町。いつもと同じ角店。いつもと同じ公園。
だが何かが違う。
路上を行き交う人々は輝いて見え、建売住宅の庭先に聞こえる洋琴の音は歓喜に満ち、牛丼屋の卓子で慌ただしく食事をする人達さえ愛おしく思える。
此の町は、否、此の世界は光り輝く世界となつた。
数日を経ずして私は讀書の虜と成り果てた。
斯くも静かな斯くも呆気無い私の書痴への道を親達は予想し得たであらうか。
我が親達が私を純真無垢に育て上げやうとする試みは此処で潰えた。
然し私にとつては新たなる始まりに過ぎない。
讀書の魅力に憑りつかれた其の日から私の本を物色し限られた時間で本を讀む苦闘の日々が始まつたのである。
図書館や書店は、押し寄せる思想の押し付けによる荒廃をものともせずに其の雄姿を留め、豊富な作品数を誇つていた。
更に新刊の本が供給され続け新聞すら配達されてくるのである。
当然私は知識の向上という大義名分の下に讀書といふ娯楽に溺れた。
そして書痴である事を宣言。
暇が有ると本を読み、時折、紗に構えた事を謂うやうになつた。
実に可愛くない。
あの運命の夜からどれ程の歳月が流れたのか。
然し今や私は書痴であることを止める事が出来ない。
私は趣味に給金の殆どを注ぎ込むサバイバルを生き抜き、嘗て今迄如何なる先達も実現し得なかった理想の楽園をあの永遠のシャングリラを夢想の中で実現するだろう。
嗚呼。書痴の恍惚と不安、共に我に有り。
新たなる本を読む楽しみが無限に広がつている此の世界を認識する時、眩暈にも似た感動を禁じ得ない。