昨日の夜は、映画『サンドラの週末』のDVDを観ていました。
体調不良で休職していたサンドラは医師から完治したと診断されて復職を願い出る。
しかし会社側は業績が業績が悪化していて従業員のボーナス支給のためには誰か1人解雇が必要となったことを理由にサンドラに解雇を通告してくる。
従業員のボーナス支給かサンドラの解雇か二つに一つと述べる社長に対して、従業員全員の投票を認めさせたサンドラは同僚達にボーナスを諦めて自分の職場復帰を認めてくれと説得して回ることになった。
従業員の過半数がボーナスを諦めてサンドラの職場復帰を認めたならサンドラは職場に復帰できる……。
しかし従業員達はそれぞれ事情を抱えていて……。
監督は、ジャン=ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ。
出演者は、マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジョー、オリビエ・グルメ、モルガン・マリンヌ、ピリ・グロワーヌ、シモン・コードリ、など。
他人の目を通して自分がどのような人間であるのかを再確認するお話です。
助け合いという言葉は綺麗で心地良い言葉だけれども、人はそれぞれに事情を抱えていて他人を助ける余裕がない場合もあります。お金の問題は切実です。
それは労働者だけではなく経営者も同じです。会社が倒産すれば多額の借金を背負うことになります。そして、雇っている人も路頭に迷ってしまうのです。切実。
サンドラの職場復帰の条件は社長のパワハラではあるのですが、これを公的機関に訴えても何も解決しないし人権団体に訴えても誰も救われません。会社の中が混乱するだけです。最悪は会社が倒産して全員が無職になるだけです。
だからと言って無抵抗でいたなら己がつらい目に遭うだけです。しかし誰かの犠牲の上で生きていくのもつらいです。
如何に上手く賢くそして誠実に生きていくかが問われているのです。
物語は、職場に復帰したいなら同僚を説得するか社長を説得するかしかない状況です。
社長の説得には失敗し、同僚を説得する。
でも同僚達はそれぞれ事情を抱えていてボーナスが欲しい……。
己の取り分を減らしてまで仲間を救えるか? 皆で貧乏に耐えられるか? 余裕があるなら取り分を減らすことに同意できるけれども……。
サンドラも事情を抱えていて職場に復帰してお給料が欲しい。
同僚達の元に行って「職場に復帰したい=ボーナスを諦めて欲しい」と訴えます。
仲間を救いたいという気持ちと抱えている事情を量りにかけて同僚達は様々な反応をします。
サンドラは凹んだり絶望したり勇気づけられたり。自分が必要とされているのか必要とされていないのかは大問題です。
世の中に理不尽は存在するけれども理不尽なことにどう向き合うかというお話です。
面白かったですよ。