12/8(水)、イオンシネマ新潟西で、「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」を観てきました。
恋人ルーと2人でバンドを結成し、トレーラーハウスで暮らしながらライブツアーをして生活しているドラマーのルーベンが、聴覚障害になってしまう。
聴覚障害の聞こえ方をリアルに再現する音の表現によって、ルーベンの葛藤や苦悩がリアルに伝わってきた。
ドラマーのルーベンにとって聴覚障害は人生を捨てるほどのショックで、だから最初は自分の障害を認めず、医者に行っても「でも治りますよね」と思い込み、現実を知った時の絶望の大きさが本当に生々しく伝わってくる。
心配する恋人ルーと、バンドが続けられると言い張るルーベンのすれ違いが切ない。
葛藤の末にルーベンは聴覚障害者の支援コミュニティで暮らし始めるが、今度は一人だけ手話も読唇もできない孤独から自暴自棄になっていく。
それでも聴覚障害の子供達とのふれあいなどの中で、自分にもできることがあると希望を見出していく場面が本当に感動的で、人は障害があっても変われるんだなと思った。
特に、支援コミュニティの代表の人が、ルーベンの苦悩を理解しつつも、現実の厳しさやそれを受け入れる大切さなども教え、こういう人の存在は大きいなと思った。
ネタバレだから書かないが、ルーベンは途中である決断をして、それが正解かは分からないけれど必死さが伝わってきたし、そんな彼に思うところがありつつも肯定する施設の代表もやっぱり大きな人物だなと思った。
また、障害の話であると同時に恋人ルーと分かり合う物語でもあり、一人の人間の生き方をちゃんと描いているなと思った。
時折、ルーベンの聞こえ方が音で表現され、聴覚障害の彼も振動をこんな風に感じているんだろうなと感じられたのもすごく貴重な映画体験だった。
最初はあんなに聴力を失うことを恐れていたルーベンが、色んな体験を通して成長したことで、彼の世界の見え方、いや聞こえ方が変わっていくという、聴覚障害というテーマをここまで深く描いた作品はなかなかないと思ったし、映画だから表現できるものもたくさんあった。
あのラストも、色んな解釈ができると思いました。