舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「ばるぼら」観てきました。

2020-12-03 23:15:21 | Weblog


12/3(木)、イオンシネマ新潟南で「ばるぼら」を観てきました。
新潟市内では、イオンシネマ新潟南のみでの上映。





予告編はこちら。



手塚治虫の漫画を息子である手塚眞監督が映画化。
人気作家が町で倒れていた少女、ばるぼらを家に迎え入れたことから、彼女に惹かれ人生が狂っていく物語を、現代を舞台に描いています。

手塚眞監督という人は、僕は「白痴」や「星くず兄弟の新たな伝説」が好きでその時も思ったけど、ビジュアリストと名乗るだけあって本当に不思議な映像を作るんですよね。
園子温監督とも三池崇史監督とも違う、独特の手塚眞ワールド、個人的には先輩である大林宣彦監督の影響が大きいのかなと思います。

手塚監督は、大林監督の「ねらわれた学園」では薬師丸ひろこのクラスメイト役、遺作である「海辺の映画館 キネマの玉手箱」では小津安二郎監督の役をしているし、大林監督から遺書の中で岩井俊二監督、犬童一心監督、塚本晋也監督と共に映画の未来を託された監督の一人でもあるので、そういう影響があるのかなと思います。
まあ、長くなりましたが、とにかく、そんな不思議な手塚眞ワールドは、「ばるぼら」でも健在なわけです。

そんな不思議な物語に説得力を持たせていたのは、稲垣吾郎さんと二階堂ふみさんの存在がすごく大きかったと思うんです。
稲垣吾郎さん演じる主人公の作家はとにかくモテるんだけど、時にSFやファンタジーの世界みたいな人達からもモテて、そのまま襲われたりもするのです。

そこをばるぼらが助けてくれたりするから最初はいい奴なのかと思いきや、ばるぼらが本当に曲者で、超大真面目な主人公の家で酒を飲んでは獣のように自由に振る舞うわけです。
そして、そこに主人公は惹かれてしまう。

やがて主人公はばるぼらに恋をして婚約までしてしまうんだけど、そこから彼はどんどん堕落していく。
同時にばるぼらは悪魔的(?)な本性も表していく。

もうファンタジーというか寓話的な世界の物語で、それを現代日本を舞台に描くから本当に不思議な現実感と非現実感が同時に存在するような、節な味わいの映画なんです。
だから、一歩間違えば、全然物語に入り込めない駄作にもなってたと思うんですが、そこを映画として成立させていた役者の力、特に主演二人の力が本当に大きかったと思います。

稲垣吾郎さんがあのスタイルの良さでスーツをビシっと着こなしてカッコつけてサングラスをかけているだけでやっぱりこの人はスターだなと思ったし、あの微妙に浮世離れした独特の存在感を漂わせた演技からも只者ではない感じがガンガン伝わってきました。
そして、二階堂ふみさんの、奔放に酒を飲んでは獣のように欲望のままに暴れる演技も、天使のような悪魔な笑顔も、本当にばるぼらの只者ではない存在感を放っていたし、体当たりの濡れ場まで披露していたのには驚きました。(「エール」も良かったけど、あらためて演技力の幅広い役者さんだなと思いました)

ばるぼらは男を狂わせるヤバイ女として描かれるけど、でも、そんな彼女に恋をしてしまう主人公を見ていると、人間にとって恋は不可抗力なんだなと思ったし、恋とは希望になると同時に人生を破滅に向かわせる危険もあるヤバイ行為でもあるのだなとあらためて思いました。(自分の過去の恋愛体験も思い出しつつ)
途中で日本版「ミッドサマー」なのか?ホルガ村なのか?というトンデモ場面もありつつ、そんな色々どうかしてる物語の果てに、二人は生と死の境界を彷徨うような逃避行に出ていきます。

人が人を愛することの希望と恐怖という普遍的なテーマに挑んだ映画なのかなと思いました。
あまりにクセが強い映画なので賛否が別れそうだけど、僕は好きです…いや、大好きです!
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