5/20(月)、『シャザム!』を観てきました。
新潟市内のほとんどのシネコンで上映していたようです。
予告編はこんな感じです。
世界を救うヒーローを探し求めている伝説の魔術師に、たまたま選ばれてしまった少年が主人公で、「シャザム!」と叫ぶと伝説のヒーロー「シャザム」に変身して戦うという、基本的には超王道のファンタジーだし、最近流行りのアメコミヒーロー映画の一つです。
最近ではMCUのシリーズを中心に、アイアンマン、スパイダーマンなどのマーベルコミックスのヒーロー映画が世界的に大ヒット、対してDCコミックも一昨年のワンダーウーマンやジャスティスリーグ、今年のアクアマンなどのスーパーヒーロー映画が大ヒットしているわけで、本作「シャザム!」もそんなスーパーヒーロー映画です。
しかし、多くのヒーローが戦闘時には見るからにカッコいいコスチュームに変身するのに対して、本作「シャザム!」は主人公の少年が変身すると、おじさんの姿に変身してしまうのです。
しかも、そのコスチュームもストレートにカッコいいというよりは、ちょっと一昔前のヒーローのような絶妙なダサさがあり、つまり、ヒーローになるとまるでコスプレをしたおじさんになってしまうのです。
確かに、アメコミ映画ってここ最近ヒットしているから忘れられがちですけど、ちょっと冷めた目で見るとヒーローの衣装ってただのダサいコスプレ衣装に見えちゃったりするものだし、もし本当にこの世界にそんな恰好のヒーローがいたら、物凄く変な存在だと思うんですよ。
本作「シャザム!」は、そういうヒーローの「よく考えたら変なところ」を物凄くデフォルメして、ある種メタ的なギャグにしているんだなと思いました。(特にスーパーマンはすごく意識しているのかなって思いました。スーパーマンだって、変な衣装のおじさんですからね。笑)
その上、主人は孤児として養子になって血の繋がらない兄弟姉妹と暮らしていたり、普通に学校に通ったりしている、ごくごく普通な、どちらかと言えば地味で弱気な少年なんですけど、そんな少年が突然「シャザム」というコスプレおじさんヒーローになってしまうから、そのギャップを使ったまるでコントのようなギャグがとにかく満載なんです。
こういう、ストレートにカッコいいヒーローだけじゃなくて、コミカルなヒーロー、しかもそれがヒーロー映画をメタ的なギャグにしていたりするという、こういうちょっと捻った視点の映画が作られていること自体が、アメコミ映画というジャンルそのものが物凄く豊かに成熟している証拠なんだろうななんて思ったりもしました。
さてさてこの主人公、最初はヒーローに選ばれてしまったこと、シャザムに変身してしまうことに戸惑っていたのですが、変身すればスーパーパワーが自由に使えることに気付いてからというもの、調子に乗って暴れまわるのです。
強盗をやっつけたりするシーンもありますが、それも正義の心というよりは、自分の強さを見せつけたくて暴れているようで、まさにキャッチコピーにもある通り「見た目はオトナ 中身はコドモ」なわけです。
しかし、ここはアメコミ映画、途中から敵キャラがしっかり登場してきます。
しかもこの敵キャラ、全体的にコメディな映画にもかかわらずかなり容赦なく残虐行為を働くなど、かなり凶悪な存在として描かれています。
さらに、その敵キャラは、主人公にヒーローの力を授けた伝説の魔術師を倒してその力を手に入れていた、という存在なので、ある意味、主人公と戦うことが運命づけられているような敵として描かれていたなと思いました。
最初はヒーローになれて調子に乗っていた主人公も、本当に戦わなければいけない敵を前に弱腰になったり、逃げだしたりしてしまうという、力だけは手に入れても内面が弱ければ意味がない、みたいなストーリーになっていて、コメディかと思いきやかなり丁寧な脚本だなと思いました。
さらに言うと、敵キャラは、幼少期の恨みや妬みの気持ちを抱えたまま大人になって悪の道に走ったという設定だったのがすごく印象的で、彼もまた内面が成長していないまま力だけを手に入れた、まるで主人公と対になる存在として描かれているなあと思いました。
一方主人公はただご都合主義的に強い力を手に入れただけではなく、最初はダメな奴だったのに大切なものを守ろうとすることで、内面的に成長したことによって本当の強さを手に入れて、敵に立ち向かっていった、という感動がすごく際立っていたなと思いました。
中身は少年なのに見かけはオッサンというヒーローのコメディかと思いきや、その設定をものすごく上手く使って、人が外見だけではなく、内面も大人になることの大切さを描いた映画だったのかな、と思いました。
なんて書くと感動的な映画みたいですけど、実際はクライマックスの最終決戦においてもまさかの爆笑超展開の連続にもなっていて、でもそれだけじゃなくて熱くてカッコいい展開にもなっていたのが、すごく絶妙なバランスの映画だと思いました。
あと、先程も書きましたが、「アベンジャーズ」などのMCUシリーズを筆頭に、「デッドプール」、「ヴェノム」、「スパーダーマン スパイダーバース」などマーベル映画の世界的な大躍進がここ最近の映画にあり、一方でDCコミックも負けていないとばかりに「ジャスティスリーグ」「ワンダーウーマン」「アクアマン」などが大ヒット、さらには「レゴバットマン」、「ニンジャバットマン」などの派生作品も生まれ、ジャンル全体が活気づいているアメコミ映画という世界に、本作「シャザム」は、新たな傑作が誕生したなと思いました。
最後に、先程も書いたように「スーパーマン」のパロディだなと思って見ていたら(ネタバレになるから書かないけど)まさかのオチに物凄く笑ったし、またそのあとのエンディングがすごく青春って感じになっていて、爽やかな感動に包まれて映画館を出ました