僕がバイトを始めてもうすぐ一年になるウオロクですが、業務内容は陳列や漬物発注以外にも色々ありまして、その中で毎日必ず行う業務に、店頭に置かれたリサイクルボックスの管理があります。
店頭のリサイクルボックスは、アルミ缶、ペットボトル、牛乳パック、食品トレーなどがあり、決まった時間にチェックする他、ボックスが満杯になっているのを発見し次第、袋を交換します。
リサイクルボックス管理それ事態は別に難しい業務でも何でもないんですけど、面倒なのは、リサイクルボックスに汚いゴミを投げ込んでいく人達が毎日のようにいるんですよね。
そういうゴミを発見すると、別に処理しないといけないので、大変面倒臭いと。
なので私、大変腹を立てております。何故ルールを守らない人間のために、時間をさかなきゃいけないのかと。
いや、そういうルールを守らない人間っていうのはどこにでも一定数いるもので、そんな彼らのルールを無視したゴミの後処理をすること含めて、リサイクルボックス管理だと言われればそれまでなんですが。
ただ悔しいのは、我々がこうして毎日ルールを守らないゴミを処理し続けることで、結果的に奴らは何一つ損害を被ることなく、ルールを無視したゴミを放置し続けることが出来る、というシステムが成立してしまっていることです、悔しいことに。
だからと言ってゴミを放置したところでリサイクルボックスの規律が今よりも乱れるどころか、店全体のイメージも悪くなるのは目に見えているから、もちろんそんなことをするわけにもいかないという。
いや、たかがスーパーのリサイクルボックスの問題とは言え、これは人間が社会生活を送る上でどこかに必然的に生じてしまう歪みのような悪、そしてそれにどう対応していくかという、人間にとって不可避かつ普遍的な課題にも通じる問題とも言えるのだ!
そして、そんなジレンマを抱えながら、我々アルバイトa.k.a.ガーディアンズ・オブ・ウオロクリサイクルボックスは、今日も店頭のリサイクルボックスを管理を行っているのであった。
そんな訳で、世界の平和を守っていたガーディアンズ・オブ・ウオロクリサイクルボックスの俺であったが、この業務を毎日続けていると、あることに気付くのであった。
それは、リサイクルボックスには、「またこのゴミか!」という感じで、定期的に同じようなゴミが捨てられているのである。
しかも、例えばアルミ缶の中にスチール缶が捨ててあるとしたら、どのメーカーの何の商品か、どのくらいの周期か、どのくらいの時間帯か、どんな状態か(そのままなのか、袋ごと入ってるのか、袋だとしたらどんな袋なのか)なども、気付けば細かく覚えてしまっているのである。
だからこれは、まず間違いなく何人かの特定の犯行が存在し、彼らにとって「ゴミをウオロクのリサイクルボックスに放置する」という行為は、おそらく彼らの生活サイクルの中に完全に組み込まれているのだ!
と、ここまで詳細が分かっていたら、頑張れば犯人の特定が出来そうなものであるが、未だにその特定には至っていないというのが現状なのである。
何故なら、我々のリサイクルボックスの管理はあくまで副業的なものであり、本業である陳列や発注の合間にリサイクルボックスの管理を行っている以上、犯人の特定に全力を注ぐことは困難なのである。
そんなことを考えてバイトをしていたら、段々ゴミを見る度に「またアイツか!」みたいな気持ちになるようになってきました。
そして、気付けば会ったことない犯人達にゴミの種類で勝手に名前を付けておりました。せっかくなので一覧を書きます。
・汚い猫缶
・カセットボンベと大量の汚い猫缶
・汚いツナ缶
・汚いトマト缶
・汚い油の瓶
・汚い油のペットボトル
・汚い乳酸菌飲料のペットボトル
・灰皿にされた大量の氷結の缶
・入浴剤の缶
・その他不燃物
・生ゴミ
この中でも特にムカつくのは、「カセットボンベと大量の汚い猫缶」で、何がヤバイって毎日必ず捨てていくという常習犯なのである。
あの業務に少しでも携わっている者なら、そのゴミを見ただけで「またあいつか」って思うほどです。
何がムカつくって、ウオロクの営業時間内に捨てていくという完全にナメた奴で、一番ムカついた時でほんの数分間離れたすきに捨ててあったこともあります。
そこまではっきりしているのなら、そのうち特定されてもいいものなのに、未だその姿を見たことはないというあたり本当に憎たらしい奴で、いつか必ず特定して面と向かって注意してその顔をいつまでも忘れずにいてやろうと、復讐心にも似た炎を燃やす俺であった…
そんな、1月8日(金)のことである。
いつものようにリサイクルボックスの管理をしていた俺であったが…
一人の中年女性が、汚い猫缶の入ったビニール袋を以て、アルミ缶のリサイクルボックスに向かっていくではないか!!
間違いない!!あいつは汚い猫缶だ!!
すかさず後を追い駆ける俺!
ちひろ「すみません、その缶はここには捨てられません」
汚い猫缶「えっ、そうなの?」
「えっ、そうなの?」じゃねーよ!!
この汚い猫缶が!!
しかし、ガーディアンズ・オブ・ウオロクリサイクルボックスは、武力を持たない平和の団体である。
ここは飲料用のアルミ缶のリサイクルであること、リサイクルに出す缶は必ず洗って出す必要があること、猫缶はスチール缶な上に飲料用でにもなく、洗ってもいないので、絶対にここには出せないこと、そしてそれらはリサイクルボックスの上にはっきりと明記されていること、それらを懇切丁寧に説明するという任務を全うするばかりである。
すると、汚い猫缶は「え、じゃあどこに捨てればいいの…?」と言いながら、立ち去って行ったではないか…
「え、じゃあどこに捨てればいいの…?」じゃねーよ!
行政に定められた「ビン缶の日」にゴミステーションに持ってけ!!
この猫缶クソ野郎が!!
とは言え、汚い猫缶は汚い猫缶を持ってウオロクから立ち去って行ったのである。
勝った!!俺は汚い猫缶に勝ったのだ!!
ただ、残念と言うか、何というか、俺が特定した「汚い猫缶」は、おそらく「カセットボンベと大量の汚い猫缶」とは同一犯ではない。
「カセットボンベと大量の汚い猫缶」の犯行がもっと大量かつほぼ毎日なのに対し、「汚い猫缶」の犯行は大体週一で数個程度なのである。
対して、良かったことは、「汚い猫缶」と「汚いトマト缶」が同一犯であることが判明したことでたある!
何はともあれ、犯人の一人を現行犯で押さえることが出来たのは、大きな前進と言えるだろう!
だが、ここで気になるポイントが一つある。
それは、汚い猫缶が、汚い猫缶を出す行為がルールに反していることを、知らず知らずに犯行に及んでしまっていたのか、分かった上で犯行に及んでいるのかが、現段階では判断できないのである
前者の場合、注意したことで今後の行動を改める可能性は十分にある、しかし、後者の場合は今後も犯行に及ぶ可能性もあるのだ。
その場合、繰り返し注意を喚起する必要があるだろう。
そもそも今回は複数人存在する犯人の一人を特定したに過ぎず、何よりラスボス「カセットボンベと大量の汚い猫缶」との戦いはまだ始まってすらいないのだ。
行け!ガーディアンズ・オブ・ウオロクリサイクルボックス!
俺達の戦いはこれからだ!
と言う訳で、1月8日(金)、ウオロクバイト一周年まであと27日!!