3月からシネ・ウインドで上映が始まった、ロマンポルノリブートプロジェクト。
ロマンポルノリブートプロジェクトとは、かつて一斉を風靡したロマンポルノという映画のジャンルに、現代の5人の映画監督が挑む!という企画です。
シネ・ウインドでは1本ごとに1週間ずつ、月に2本くらいのペースで上映しています。
第一弾「ジムノペディに乱れる」の感想はこちら。
「シネ・ウインドで、ロマンポルノリブートプロジェクト第一弾!「ジムノペディに乱れる」を観て来ました。」
第二弾「風に濡れた女」の感想はこちら。
「シネ・ウインドで、ロマンポルノリブートプロジェクト第二弾!「風に濡れた女」を観て来ました。」
そして今回は、第三弾「牝猫たち」の感想を書いていきます!
シネ・ウインドでは4/8~14まで上映され、僕は最終日の4/14(金)に観て来ました!
ひとまず、予告編はこんな感じです。
感想を書いていこうと思いますが、結論から言うと、これまで観て来たロマンポルノ三作品の中で、個人的には一番面白かったです!
と言うか、ロマンポルノという枠で考えなくても、人間ドラマとしての描写が非常に丁寧で、なおかつ新鮮な感動もあり、一つの映画として非常によく出来た傑作だったのではないかと思います。
どういう映画かと言うと、とあるデリヘルで働く三人のデリヘル嬢とその周りの人々の、日々の暮らしとそれぞれの辿る末路を淡々と描いた群像劇です。
プライベートではそれぞれ様々な悩みを抱えている三人のデリヘル嬢、デリヘルの相手の一癖も二癖もある男性たち、デリヘル経営に悩む店長や問題を起こしてばかりの若いバイトなど、決して好ましい人物ばかりではないのですが、それぞれの人物の作り込みが非常に丁寧に、どの人物も魅力的で、非常に理想的な群像劇だったのではないかと思います。
淡々とした静かな映画だけど、三人の個性がしっかり際立ってるし、物語にも引き込まれてしまうあたり、監督の手腕を感じました。
役者さんたちもみんな上手くて、登場人物たちに本当に日本のどこかで生きているんじゃないかと思わせるような生々しさがあったのが良かったです。
何て言うか、ごく普通の日常の風景のすぐ隣に、デリヘル嬢という人達の生きる世界も存在している、という雰囲気が全体的に漂っていて良かったです。
エロの世界とは、人間の見えない部分が露になる世界であり、そこには例えばシングルマザー、独居老人、ネットの炎上などのような、誰もが目を背けがちだけれど確かに存在するような様々な社会問題さえも見え隠れしていて、ロマンポルノというジャンルの中にもちゃんとこの世相を反映していることに感動しました。
登場人物、みんな良かったんですけど、個人的には、いかにも小物でダメな奴なのにどこか憎めないデリヘル店長を演じた音尾琢真さんがめちゃくちゃ良かったです。
この映画全体の魅力なんですが、登場人物がみんな非常に人間臭くて、中でも一番人間臭くていいキャラだなあ…って思いましたし、彼が体験するあるエロい体験は、この映画の中で僕が一番好きな濡れ場でしたので、もう最高だなあと思いました。
また、「いいにおいのする映画」にも出ていた吉村界人さんも、非常にいけすかない人物なんだけど、いい味を出していて良かったです。
映画の終盤、彼が発するある台詞があるんですけど、それが全然笑えない状況で全然好きじゃない奴が何にも考えずに言った一言なのに、何故か心に残っちゃう、っていうシーンになっていて、「ああこういう瞬間あるなー」って、妙に感動してしまいました。
他のロマンポルノと比較すると、淡々と(まるでネタのように)濡れ場が現れ物語を引っ張る「ジムノペディに乱れる」、強烈に暴力的なまでのエロで観る者を翻弄する「風に濡れた女」に比べ、この「牝猫たち」様々な人間の普段は隠している部分をエロを用いることで丁寧に描写することに成功した、非常に完成度の高い人間ドラマであり群像劇だったのではないかと思います!
映画のラストシーン、東京の夜景を眺めながら、「いやー、いい映画を観たなあ…」と深い余韻に包まれるような、とても面白い映画でした!
ロマンポルノリブートプロジェクトとは、かつて一斉を風靡したロマンポルノという映画のジャンルに、現代の5人の映画監督が挑む!という企画です。
シネ・ウインドでは1本ごとに1週間ずつ、月に2本くらいのペースで上映しています。
第一弾「ジムノペディに乱れる」の感想はこちら。
「シネ・ウインドで、ロマンポルノリブートプロジェクト第一弾!「ジムノペディに乱れる」を観て来ました。」
第二弾「風に濡れた女」の感想はこちら。
「シネ・ウインドで、ロマンポルノリブートプロジェクト第二弾!「風に濡れた女」を観て来ました。」
そして今回は、第三弾「牝猫たち」の感想を書いていきます!
シネ・ウインドでは4/8~14まで上映され、僕は最終日の4/14(金)に観て来ました!
ひとまず、予告編はこんな感じです。
感想を書いていこうと思いますが、結論から言うと、これまで観て来たロマンポルノ三作品の中で、個人的には一番面白かったです!
と言うか、ロマンポルノという枠で考えなくても、人間ドラマとしての描写が非常に丁寧で、なおかつ新鮮な感動もあり、一つの映画として非常によく出来た傑作だったのではないかと思います。
どういう映画かと言うと、とあるデリヘルで働く三人のデリヘル嬢とその周りの人々の、日々の暮らしとそれぞれの辿る末路を淡々と描いた群像劇です。
プライベートではそれぞれ様々な悩みを抱えている三人のデリヘル嬢、デリヘルの相手の一癖も二癖もある男性たち、デリヘル経営に悩む店長や問題を起こしてばかりの若いバイトなど、決して好ましい人物ばかりではないのですが、それぞれの人物の作り込みが非常に丁寧に、どの人物も魅力的で、非常に理想的な群像劇だったのではないかと思います。
淡々とした静かな映画だけど、三人の個性がしっかり際立ってるし、物語にも引き込まれてしまうあたり、監督の手腕を感じました。
役者さんたちもみんな上手くて、登場人物たちに本当に日本のどこかで生きているんじゃないかと思わせるような生々しさがあったのが良かったです。
何て言うか、ごく普通の日常の風景のすぐ隣に、デリヘル嬢という人達の生きる世界も存在している、という雰囲気が全体的に漂っていて良かったです。
エロの世界とは、人間の見えない部分が露になる世界であり、そこには例えばシングルマザー、独居老人、ネットの炎上などのような、誰もが目を背けがちだけれど確かに存在するような様々な社会問題さえも見え隠れしていて、ロマンポルノというジャンルの中にもちゃんとこの世相を反映していることに感動しました。
登場人物、みんな良かったんですけど、個人的には、いかにも小物でダメな奴なのにどこか憎めないデリヘル店長を演じた音尾琢真さんがめちゃくちゃ良かったです。
この映画全体の魅力なんですが、登場人物がみんな非常に人間臭くて、中でも一番人間臭くていいキャラだなあ…って思いましたし、彼が体験するあるエロい体験は、この映画の中で僕が一番好きな濡れ場でしたので、もう最高だなあと思いました。
また、「いいにおいのする映画」にも出ていた吉村界人さんも、非常にいけすかない人物なんだけど、いい味を出していて良かったです。
映画の終盤、彼が発するある台詞があるんですけど、それが全然笑えない状況で全然好きじゃない奴が何にも考えずに言った一言なのに、何故か心に残っちゃう、っていうシーンになっていて、「ああこういう瞬間あるなー」って、妙に感動してしまいました。
他のロマンポルノと比較すると、淡々と(まるでネタのように)濡れ場が現れ物語を引っ張る「ジムノペディに乱れる」、強烈に暴力的なまでのエロで観る者を翻弄する「風に濡れた女」に比べ、この「牝猫たち」様々な人間の普段は隠している部分をエロを用いることで丁寧に描写することに成功した、非常に完成度の高い人間ドラマであり群像劇だったのではないかと思います!
映画のラストシーン、東京の夜景を眺めながら、「いやー、いい映画を観たなあ…」と深い余韻に包まれるような、とても面白い映画でした!