http://the-liberty.com/article.php?item_id=13241 幸福の科学出版
《本記事のポイント》
・ 中国が「一帯一路」構想を推し進めている
・ アフリカのジブチやパキスタンのグワダル港も、インフラ整備
・「戦わずして勝つ」戦略で、中国の覇権拡大を阻止できる
南シナ海における中国の主権が仲裁裁判所に否定されてから、12日で1年となりました。ただ中国は判決を意にも介さず、今も南シナ海で軍事施設を造り続けています。これに対し、トランプ米政権は南シナ海で「航行の自由」作戦を再開し、けん制しています。
中国は「一帯一路」構想も、推し進めています。5月に北京で開かれた「一帯一路フォーラム」には、130カ国以上の代表が参加しました。
「一帯一路」構想とは、中国を拠点としてアジアや中東、アフリカなどを経由してヨーロッパまでを陸路と海路でつなぐ壮大な経済圏構想です。この構想の実現に向け、中国は着々と手を打っています。
◎「ジブチに中国人5000人がやってくる」
アフリカ東部に位置するジブチ共和国は、中国にとって、「一帯一路構想」を実現させるための重要拠点です。中国の人民解放軍は、初めての海外軍事基地を、ジブチに建設しています。
ジブチには、自衛隊唯一の海外基地もあり、自衛隊はここを拠点として、ソマリア沖の海賊対策を行っています。
というのも、ジブチはアフリカ大陸とアラビア半島の間に位置し、海外交通の要衝であり、かつ軍事的な要衝地。フランスやアメリカ、イタリアなど、各国の軍隊が駐留しています。
ジブチの自衛隊基地で半年間勤務したある自衛官は、本誌の取材にこう語ります。
「ジブチでは、中国の人民解放軍も活動していました。中国企業が、エチオピアとジブチの間に鉄道を建設していて、今後ジブチには、中国人5000人が移住してくると聞きました」
中国は、ジブチの道路や鉄道、パイプライン、港、工業地帯などの建設に、多額の投資を行っています。大連港集団などの中国企業がジブチの国際貿易自由区に投資し、1万5000人規模の雇用を生むと見られています。
中国は、ジブチをアフリカ最大の重要拠点とし、将来的にはアフリカ・中東地域で、経済的・軍事的な影響力を高めようとしているようです。
◎パキスタンのグワダル港も制圧した中国
「一帯一路構想」の中心プロジェクトが、「中国・パキスタン経済回廊」です。
中国は2015年から43年間、アラビア海に面したパキスタンのグワダル港の運用権を得ることに成功。現在、グワダル港と中国のカシュガル間で、高速道路や鉄道、パイプラインなどの整備を進めています。
今のところ、グワダル港に中国海軍の拠点は建設されていません。ただ、香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、中国政府は海軍陸戦部隊を2万人から10万人に増強する計画で、将来的にジブチやグワダル港などに派遣するということです(3月14日付)。また、中国の情報収集艦や潜水艦は、インド洋をたびたび航行しています。
パキスタンの隣国インドは、こうした動きに強く反発。中国に対抗し、日本と組んで「アジア・アフリカ成長回廊」計画を立ち上げ、グワダル港に近いイランのチャバハル港の開発を行っています。
またインド南部のチェンナイでは、今月10日〜17日の日程で、日米印3カ国による海上共同訓練「マラバール」が行われ、日本も初めて正式参加することとなりました。これは事実上、中国海軍を仮想敵にした訓練です。
◎「戦わずして勝つ」ための戦略
これまで本欄で指摘してきた通り、中国が目指しているのは、アメリカに代わって「世界の覇権を握ること」です。中国は数年以内に経済的・軍事的にアメリカに追いつき、台湾や沖縄を手中に収め、日本を植民地化することを、国家戦略にしています。
そんな状況の中、憲法9条によって自らを縛り、自衛権すら十分に行使できない日本に、打つ手はあるのでしょうか。
大川隆法・幸福の科学総裁が2012年12月、周恩来の霊言を行ったところ、周恩来の霊は、習近平国家主席を指導していると語る中で、中国の弱点として、「人民元の為替操作」について触れていました。
「これが、自由経済にさらされたときには弱いわね。(中略)要するに、外国で起きたことが波及することになるからね。今、それが波及しないように、国家がブロックして、"防波堤"をつくっている。(中略)だから、日本とアメリカに賢い人が出てきたときには危ない」
つまり、「為替操作国」に指定して、人民元を自由競争にさらしたり、中国製品に関税をかけたりすれば、中国は弱っていく可能性が高いということです。そうすれば、中国の軍事拡張や一帯一路構想をとん挫させられます。
これはまさに、トランプ米大統領が行おうとしていることです。大川総裁は、こうしたトランプ氏の戦略について、著書『繁栄への決断』の中で、「『まずは兵糧攻めからする』というのは、戦わずして勝つ方法の一つです」と指摘しています。
世界の混乱を最小限に抑えるためにも、日本はトランプ氏の「戦わずして勝つ」戦略に協力することで、中国の覇権を食い止めることが重要です。(山本泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『周恩来の予言』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=870
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