8月17日実況見分
体育館にて事件当日の部屋を作る
被害者と同じ体格の婦警と、事件当日を再現し、撮影をする
刑事、検事など二十数名が、腰縄手錠の福田和子を囲んで、その一挙一動を見守る
1
ソファーに被害者を想定した婦警が、足を伸ばして座っている。その後ろから、首に紐を巻きつけるところで、福田和子の手が止まる
2
辰巳検事
和子の傍らにすっ飛んで来る
「福田さん、帯締めの位置はここですよ」と、婦警の右横の首を指し促すが、和子は躊躇する
3
刑事部長
「思いだしとるとこまでで、えーぞぉー」
4
辰巳検事
憮然とする
5
和子、被害者殺害後、テレビの前で座りこみ号泣を再現
6
辰巳検事
「あっ、そこ!そこの泣いているところを撮っといて下さい」
6
ソファーの上で、婦警の体を毛布で包む
7
辰巳検事
事務官に「できた!できたゆうて、書いとけぇ!」
【しかし、この時の実況見分の写真は、裁判所に提出されず、公判前に弁護士の要請で提出された】
8
辰巳検事
「あなたと被害者とでは、グレードが違い過ぎませんか?彼女は亜米利加亭でナンバーワンのホステス。あなたは亜米利加亭ではあまり客がいなかったんでしょう?」
(わざと挑発?)
9
和子、憤慨
「蓼食う虫も好き好きです」
辰巳検事
「怒りましたか?」と面妖な笑み
和子
口を真一文字に結ぶ
辰巳検事
「お付き合いしていた萩原さんには、婚期の遅れた良家の娘と嘘をついてたんでしょう?そして、高井はつ美だと偽名を使っていた。これは荻原さんに見栄を張っていたんじゃないんですかぁ?」
和子
愕然
■エリート検事に夜の世界の話をしても理解していただけるのかしら?
偽名高井はつ美は、M市で働いていた全ての店で使っており、萩原のために特別に考えた訳ではない。水商売で女が年のサバを読むことは、そんなに珍しいことじゃないでしょう。容色の衰えかけた女の必死のつま先立ちです
検事さんて二重人格じゃないの?