るるの日記

なんでも書きます

能登里山の祭事・あえのこと

2021-09-11 17:21:05 | 日記
あえのことは、農耕儀礼の一つとして古くから奥能登の農家に伝えられてきた

年の暮れに田の神を迎えて、あたかも姿ある人に接するかのように主人が厳粛にねぎらい
翌春には再び田んぼに丁重に送り出すという一連の素朴な行事である

12月5日
まず念入りに家の清掃をし
午後3時頃家長が裃をつけ
鍬を肩にして苗代田のあぜに立つ
鍬を田に打ち込み2拍手して
「田の神さま、お迎えにあがりました。今年もご苦労さまでございました」と案内し、
玄関口、居間のあがり口、茶の間、座敷まで順次案内する
座敷で2拍手して
「長らくご苦労さまでございました。お休み下さいませ」
と唱えて拝礼する

日が暮れてから、田の神を風呂場に案内する。祭主である家長は台所の炉端の上座に着座し、田の神の湯上がりを20分ほど待つ。その間にお膳をすえる

田の神は夫婦神で、お膳は二膳準備する。輪島塗の和膳に椀が5個

1・飯椀
白米にして12ヶ月に見立てた12かい盛りにする(しゃもじを12回使ってこんもりと盛る)
盛り方が悪いと来年、穂のつき方が悪いといわれる

2・汁椀
椎茸の味噌汁

3・煮物椀
大根の輪切り
にんじん
ごぼう
里芋
山ふき
豆腐
ぜんまい
など7種を煮込んだものをつける

4・向付け椀
豆腐の田楽
大根なます

5・皿
尾頭つきは、はちめ(めばる)の生のもの

6・膳の横に酒を盛る椀
手前に銚子を1本置き
中央に陶製の酒瓶を置く
漆塗りの銚子には甘酒が入れてある

配膳が終わると肩衣姿の家長が神前に座し、2拍手拝礼の後
「田の神さま、今年も長らくご苦労さまでした。ごちそうは十分つくってございます。ごゆっくりおあがり下さいませ」とあいさつし、

お神酒を三献
次に陶性の酒瓶を三献注ぎ
ひとまず下がる

しばらくして再び神前に進み
配膳時と同様にあいさつし、盛ってあるごちそうの品々を1つ1つ申し上げ、再びあいさつして下がる

30分くらい待って、家族の夕食になると、このお膳を下げる。祭主は一膳分当たる権利がある。後の一膳は家族みなで食べるが、家長の分のご飯は多すぎるので家族に分ける

祭りが終わると種籾を床の間にあげておく。神さまは春まで種籾俵にこもってござる

翌年2月9日
田の神を田へ送る
神座を整え、風呂の案内をして、お膳をすえる。ごちそうの中身や甘酒は迎えるときと同じもので、田へ送ったあとのお下がりを食べる
「田の神さま、ご苦労さまながら、今年も雨にも負けず、風にも負けず、虫にも負けず、照りにも負けず、豊作をお祈り申してお送りします」と唱えて拝礼する
これらは真言宗の家で行われる



能登里山・祭りごっつぉ(ごちそう)・準備から後片付けまで4日間かかる

2021-09-11 15:17:22 | 日記
祭り当日は、座敷も次の間も開けっ放し。訪れた人には誰にでもふるまう。酒やごちそうは飲み放題、食い放題

祭りが近づくと女たちは、数日前から準備に追われる。5月に仕込んだひねずし(塩漬けのウグイなどを使ったなれずし)の出来を心配しながら蓋を開けるのもこの時だ

★煮しめ
焼き豆腐、塩出ししておいた山フキ、ぜんまい、ゴボウ、ニンジン、いものこ、焼き麩、昆布などを、大きな鍋に入れていろりにかける。味付けはたまりだけだが、たっぷり入れた野菜や昆布から旨味が十分出る

★焼物や味噌汁
いけすに生かしてあった鯉を使う。あらいにすることもある。鯉はその家のとうと(主人)かじいじが料理する

★数の子
水にもどし醤油をかける

★ニシンの昆布巻き
保存もきき、祭りにはかかせない

★ニンジンのごま和え
★おこわ
★サバの押しずし
も、つくる

海の魚の刺身は、まだ暑い時期なのでない

祭りに使った輪島塗の膳や椀の始末は1日がかりである。準備から後片付けが終わるまで4日はかかる

祭りが終わるといよいよ稲刈りが始まる

能登里山・農繁期

2021-09-11 14:58:21 | 日記
★旧盆すぎにソバをまき

★9月に入ると秋・冬用の野菜づくり作業が始まる

★この時期は山でキノコが採れる🍄
まつみみ(はつたけ)
もちあわせ(ならたけもどき)
などは味噌汁に
あかたけ、ねずみのて(はなほうきたけ)は茹でて塩漬けにしておき、冬から春に塩出しし、煮しめや酢の物にして食べる

★10月から稲刈りが始まり農繁期を迎える
日中は稲刈りし、はざ場までかついで運ぶ。秋の日は暮れるのが早い。家中総出で稲をかけるが、てばって(遅くなって)月明かりを利用することもある。これが終わらないと夕飯にならない。家では姑が食事の準備をしている

■大根と塩辛いものでのりきる秋仕事
★朝
※めし

※味噌汁
ジャガイモと大根葉、キノコのすりわり〈呉汁〉など

※あえもの
大根の葉やしゃくしなのごま和え、ささぎの煮豆など

※漬物
ムカシカブラの浅漬け、ずいきのぬか漬け、塩ナスなど

★昼
※めし

※味噌汁

※貝焼き
大根といしり、大根葉といしり、こんかいわし、など

※漬物

★おやつ
ゆでたさつまいも
庭の柿、いちじく、ざくろ
山で採れる栗、あけび、くるみ

★夜
※めし

※味噌汁
ジャガイモとミョウガのすりわり汁

※煮物
ごぼうの煮しめ
大根の輪切りの煮しめなどと
ゆでた大根葉にいしりをかけたおひたしをつける

※漬物
(大根のいしり漬けをいろりで焼いたものか、浅漬け大根)





能登里山・田植え後の女の仕事・草取り、草刈り、ござ織り、畳表づくりと食事

2021-09-11 14:28:36 | 日記
■田植えが終わると、田の草取りが始まるので、牛の餌用の草刈りは朝早くに済ませる
合間を見て【ござ織り】や、【畳表づくり】をする

■いぐさ田が70歩
麻畑が30歩ある
麻は、かいそ(長いままの麻を煮て、むいた皮を乾かし、細くつむいだもの)をとり、ござの縦糸にする。ござの縁は、山のフジの皮をはぎ、細かくしてつなぎ、それで縫う

盆休みが終わると、へっとり(畳表に、わらで編んだむしろを裏打ちしたもの)をつくり、8がつがつ末の市で、むしろを10枚5円20銭で売るのでへっとり50枚、畳表30枚ほど織る
畳表は1日3枚ほどしか作れないが、1枚5円で売れる

■夏は身欠きにしんを200本、1里ほど離れた粟蔵の店から買う。こんかいわしもよく食べる。野菜はいしりで味付けする

■朝
★飯
★味噌汁
★焼きナスや、とうがんのあんかけ、キュウリに味噌をつけたり
★漬物(ナス、キュウリの一夜漬け、たくあん、梅干し)

■昼
★めし
★味噌汁
★ナスと青菜の貝焼きや、こんかいわし
★漬物

■夜
★めし
★味噌汁
(ジャガイモとゴボウや、ナスとソーメン)
★煮物
(身欠きにしんを水で戻して、たまりで味付けた煮物)
★焼物
(ナスの船焼きや、ヤツメウナギの蒲焼き)

★漬物



能登里山・女たちの田植えごはん、夕飯にはドブロクがつく

2021-09-11 14:01:21 | 日記
田植えは女が主役
7~10戸で結をする
全部の家が終わるまで、10日から2
週間くらい。その間毎日、夜が明ける4時頃には当日植える家の苗代田へ集まり苗をとる

■田植えは朝8時頃から始まるが
朝食は結の家で食べる

★めし
★タケノコとワカメの味噌汁
★カジメの煮たもの
★煮豆

■昼食も結の家で食べる
★めし
★味噌汁(朝と同じ)
★煮しめ
★煮豆
★アゴ(トビウオ)の開きを焼いたもの。アゴは曽々木から売りに来る
★漬物

■それに必ずお膳につくのは、きな粉をかけた炊きたての飯を、ほお葉に包み、わらで縛った【ほお葉飯】。きな粉には塩で味がつけてある。たいていの人は家に持ち帰り、子どもたちへの土産にする
子どもはそれを食べるのが楽しみにしついる

■夕食も田植えの家でよばれる
1日の労をねぎらって、ドブロクがでる。このドブロクは寒中に仕込んでおいたものである。女たちは気がねなく飲めるのが嬉しい

■村中の田植えが終わると、野休みが2日程あり、体を休める。嫁はこの野休みの6月15日から20日頃まで、【洗濯どき】といって実家へ帰る