1【引込】午前4時半
蒸米を甑〈こしき・米を蒸す土器〉からとって、一度むしろに広げて冷やす(初室の時は冷却はあまりしない)
40℃になったら、モヤシ〈種麹〉を既定の4分の1散布して、室の床に入れ、むしろをかけて寝かす〈床伏せ〉
床伏せの間に温度や水分が適度に平均してくる
2【床(とこ)もみ】午前8時半
かけてあるむしろを取って蒸米を揉みほぐす〈蒸米温度30℃~31℃〉。蒸米にモヤシが均等に付着するように残りのモヤシをまき、また集めてむしろをかけて寝かす
モヤシの量は蒸米一石に一匁
〈蒸米150kgにモヤシ150g〉
が基準。米の性質や精白度によって加減する。これは杜氏と麹師の勘
床もみで蒸米の温度と湿りによって、モヤシの麹菌の胞子は発芽をはじめ、発育してくる
3【床返(とこかえし)】夜中12時
まんべんなく、上下内外の蒸米を入念に入れかえ、麹菌の発育を均整にする
4【盛り】午前3時半
床返し後、細菌の発育は盛んになって、米粒は破精〈はぜ・麹菌が繁殖し米粒に白い斑点ができる〉し、温度も上がってくる。品温が急上昇すると香気を害するから、麹蓋に蒸米を盛り分け〈麹蓋1枚に1升〉、胴積にして置く
5【仲仕事】午前7時半
盛り後6時間もすると品温度は35~6℃になる。モヤシの香りが高くなってきて、麹蓋内に炭酸ガスや過剰水分が溜まるので、これを排除するため、麹蓋内をかき回し、もみほくざし調整
麹師が細心の注意を払う時
6【積替】午前10時半
麹菌はよく発育し、その呼吸作用によって炭酸ガスや水蒸気がこもるので、積替する。(状況によって省略される仕事)
7【仕舞い仕事】午後6時半
※品温度は37~8℃
※破精状態は仕込みの時に使用する麹で7分位、酒の元に使用する麹で8分位になってくる
※香気もモヤシの匂いが低くなってくる
この頃に仕舞い仕事をする
麹蓋内の麹を適度にまぜる
8【積替】
仕舞い仕事の後に、3~5時間すると、麹蓋の位置によって品質、破精具合、香気、味等に差ができるので、これを均一にするため積替をする
9【出麹】午前4時
麹の品質
状貌(色)
香
味
シマリ具合
等を考察しで出麹とする
仕舞仕事から出麹までは、麹菌の繁殖と共に、各種の酵素を生成する時期。酵素の生成作用は温度、時間、湿度などが甚だ関係するので、出麹の操作は慎重でなければならない。出麹後の管理もまた大切
丸2日でできあがりですね
そして次は仕込みの仕事へ