楽しいブログ生活

日々感じた心の軌跡と手作りの品々のコレクション

中川静子の「白い横顔」

2016-06-07 23:03:01 | 
今月の課題図書で、県立図書館からやっと回ってきました。
第53回(昭和40年上期)直木賞候補になった作品です。

文芸同人誌で小説を書く生真面目で奥手な素子は、貧乏人の自分とは違って、洗練されたサークルの主宰者「芝原」から謎かけのように誘われ、男女の関係を持ちますが、お話は淡々と静かに素子のモノローグで進行して行きます。

住む世界が違うと気後れし、素子自身からの恋情はないと思っていながら、しかし、妻帯者である彼のささやきかけに一種くるみ込むような甘美さを感じていたという文章に予感が潜んでいます。

以前、渡辺 淳一の新聞小説「愛ふたたび」を読んで感じた、男というのは女の共感への希求には興味がないんだということをこの小説でも感じました。

共感というのは、私はあなたが好き、あなたも私が好きでしょう?という確認心理なんですが、男はそこを省くんですね。
女は心の繋がりが感じられないと、身体だけが目当てなんだと拗ねてしまうもんなんですよね。

素子の場合も、誘われたものの、芝原が自分のどこを気に入ってるのかまったくわからない、好きだとか、かわいいとか本能的に女が望む言葉は一切なく、「困った人ですよ」と自分を見透かしたような、暗示的な言葉で芝原には煙に巻かれます。

そして、関係を持ったことで、何かが素子の中に芽生えるのですが、芝原は冷淡でも、ずるい人間でもないにしても、熱情や真摯さがなく、女はもやもやした気持ちの持って行き場がなく、悶々とした日々を送ることになります。

女の気持ちは同姓としてよく分かります。
ただ、自尊心が邪魔してわたくしには、あてつけに他の男と寝てみたり、煮え切らない男にうらみつらみの手紙を書くと言ったバカな真似は出来ないと思いますけど、走り出した車はもう自分ではコントロール出来なくなってしまうんですね。

人間の性、なにも男女に限ったことではありません、なかなか愚かさからは逃れられないと言う事実、日々実感しています。

ところで、話は変わるんですが、ジャンプで冨樫義博のHUNTER×HUNTERが再開されてんですよね。
画力がハンパない。バトルシーン、惚れ惚れします。しばらく生きる意欲アップです。
それと月刊フラワーズ7月号、萩尾先生のポーの一族が復活ということで、アマゾンで発売と同時に売り切れになってしまったそうなんですが、史上初、月間漫画雑誌の重版が決まったと今日のニュースで流れてまして、慌てて書店に予約に行って来ました。
www、なんと言うかアドレナリン大放出です。生きてりゃ、いいこともあるんだなあ。

コメント (2)
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