よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

2011-02-20 19:14:21 | とりとめもなく

人は夢に向かって進んでいるとき辛さはあまり感じることなく、進む事が出来るが、夢を持たない時期には辛さをより多く感じるような気がする。

夢には個人の夢と、共有するゆめがあり、個人の夢は挫折する場合があり
共有の夢は支えながら進める強さがある。
私の夢は・・いろいろあるが、できればみんなで何かを実現できるならと思っている。

基本的には物づくりの中から何かを作り上げれば楽しいだろうと思っている。
過去に、村づくりをと考えた時期があり、田舎の村の中にある人と人が繋がる良さがある 近代村と表現すればいいかもしれない。

土地探しから、家づくり、食べ物に至るまで自分たちの手でできる限りの可能なものを作り、自給自足を目指す。
夢を語るのは簡単ですが、実現は簡単ではなさそうだが、情熱さえあれば
不可能ではないと思っている。

野菜もその気になれば作れる。
パンを焼こうと思えば焼ける。
家も作ろうと思えば作れる。

与えられたものに慣れてしまっている生活を抜け出せばできる事。
畑や田んぼは・・継承者が少なく、休耕地はいっぱいあり、
知識を持った高齢者もいっぱい居る。

それを如何に動かすかが成功の鍵となり、米は農家と直結し
米屋やス~パ~で高い米を買う必要もない。
白川郷に結(ゆい)という組織が出来ている。

これは、自分たちの家を守るため日々生活の中での人と人の繋がりから
産み出されもので、合唱づくりの屋根をふき替える時、結の力が必要となる。

村中の人が仕事を休み、屋根の吹き替えに奮闘する。
そこに参加することにより、自分の家も守られる。

白川郷に限らず、私の田舎にも同じような結束があり、過去に台風で物置の屋根が飛ばされた為、和歌山から材料を積み修理に帰った。
田舎に着き10時頃から修復し始め、30分もしないうちに釘袋を腰に巻いた
近所の人が工事に加わり、昼ごろには5人が増え、2日かかると思っていた工事も、一日で終わることができた。

これは昔から村で伝わった助け合いの心で、当たり前の事であり、誰かに言われて参加することとは違い、生活そのものなのだろう。
みんなで土地を買い、みんなで家を作り、みんなで野菜を作り
そんな集合体が出来れば楽しいだろう。


回想-18

2011-02-20 12:09:11 | 回想

K邸が動き始めた。
勇気と、情熱と、想いを込めて、今までの屈辱を取り返すかのように
愚痴を言うことなく、奥様は、思いをいっぱい綴ったノ-トを持って
せっせと事務所に通った。

ご主人は殆ど打ち合わせには参加しなかったが 多分すべてを奥様に任せているのだろう事はこちらにも理解できた。
奥様が一番こだわりを見せたのがキッチンで、自分の使いやすい配置をノ-トに書き、こちらはそれをスケッチにおこした。

いろんな方向から検討し、数多くの配置を書き、収納一個に至るまで、何をそこに収納するかも決めていた為図面の手間はかかったが、迷いの無いぶん仕事は進めやすく、また楽しく仕事は進んだ。

システムキッチンに頼らず、自分の使い安いキッチンをオリジナルで作る
楽しみと、その価値をよく知っていた。
殆どのお客様は別注のキッチンは高くつくと思い込んでしまい、オリジナルキッチンは想定外だと思っている人が多いが、作り方によればシステムキッチンとの値段さはあまりなく、お気に入りのキッチンを作ることができる場合がある。

オリジナルキッチンがすべていいわけではない。
システムキッチンには優れた所があり、細やかに収納トレイを組み込んでいる作りはオリジナルとの違いでもある。

キッチンメ-カ-は各部品、つまりトレイなどは単品で出すのを嫌い、値段はつけているがそれを単品で出すことはしない為、オリジナルキッチンにそれを組み込むことは難しくなり、手に入れる事が出来ても高い商品となってしまいう。

K邸キッチンはすべて無垢材を使い箱を組み、天板は人造大理石を別注し、
引出の取っ手は、既製品に奥様の気に入るものが無かった為、事務所の工房に眠っていた桜の曲り木をバンドソ-で製材し、おそろいの取っ手を20っこほど私が作ることにした。

自然が作りあげた曲線は人間が作り上げたものとは違い、その美しさと
強度も兼ね備えている。

予算の面からもいろんな提案をし、最大の予算削減の提案は外壁、屋根を
一つの業者の工法で仕上げてしまう事が予算削減につながり、メリットも期待できるため、K様には建築概念を超えた提案をすることとなったのだった。

つまり、外壁に使う外断熱を屋根にも使い、屋根葺き材をなくし、それに伴う板金工事もなくし、予算削減と、水の侵入する隙間ができないよう、すべてを断熱材で包んでしまう工法での提案をK様に相談したのだった。

それには屋根を断熱材で仕上げることにより水の侵入を防げるという根拠と
実験デ-タ-が必要となるため、メ-カ-にそのデ-タ-をとるよう指示を出した。

実験は、断熱材の上に仕上げをしたものを下に置き、その上に直径60㎝高さ
60㎝程度の円筒形に水を入れ、10日間水の浸透実験を行い、理論通り
断熱材は水圧での変形もなくまた水も漏れない事が実証され、その実験デ-タ-を持って、K様のご主人に提案した。

K様のご主人は大学の教師でもあり、ドイツ留学の経験もあり広い知識と、職業柄理論から物事を組み立てる知恵をもっていた為、この提案は必ず受け入れてくれるだろうとの自信はこちらにもあった。

案の定、ご主人は迷うことなくこの工法を理解し、受け入れられ実施設計にと進み、予算軽減と、建物の断熱効果が期待された。
省くものは徹底して省き、こだわる部分は徹底してこだわった。

薪スト-ブもこだわりの一つで、ご主人が夢を持ち採用したいと望んだ
唯一の我儘で、触媒付の二次燃焼室を持つ優れものの薪スト-ブを北海道から取り寄せた。

暖かい家で、夏の暑い日は床下の冷気を家に取り入れるため、床下ハッチを食堂のテ-ブル下に組み込み、網戸を付け虫の侵入を防ぐようにしたのだった。
暑い空気はロフトの3つの窓から外に逃がし、冷たい空気を床下から取り込む工夫を考え、できるだけ機械に頼らない自然の涼しさで過ごせるようにと
考えたのだった。

                                    つづく。