テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

連載:星空観望のお勧め 10

2012-07-05 12:45:29 | 連載:星空観望のお勧め
天体望遠鏡、星空観望専用とも云える機器です。また、星見の最終兵器でもあります。
よく云われるのは、どんなに高価で高性能な望遠鏡でも、あまり使わない望遠鏡は、イイ望遠鏡ではなく、よく使う望遠鏡こそイイ望遠鏡だと云うことです。

望遠鏡はその高倍率故に、安定した架台が必須です。自宅の庭やベランダに設置して充分な観望ができるほど恵まれた環境にお住まいなら、作り付けの固定架台を比較的安価で平易に準備することができますが、この連載の当初に述べたように、そこまで星空観望に恵まれた方は少ないかと思われますので、移動式の三脚、経緯台、赤道儀つき架台が必要になり、いずれも安定感を求める頑丈さ故に、例えば、双眼鏡用、写真機用に比べて重く、持ち運びしにくく、展開、収納しにくいものになります。加えて、架台に搭載する望遠鏡は、屈折であれ、反射であれ、手持ちでも使えるような双眼鏡とは、全く桁違いの重さです。さらに数種のアイピース(接眼レンズ)天頂ミラー、プリズム、ファインダー、反射式の場合は踏み台や電動ファンなど様々な道具が必要で、それら全部をひっくるめて、頻繁に使うには、かなりの労力が必要になります。
ただ、木星の縞や、土星の輪、月の地形、金星の満ち欠け、それから、双眼鏡では手に負えない暗いメシエ天体等々を観るには望遠鏡が必須です。故に、自分で星空観望に傾けることができる労力情熱と財力によく相談しながら選ぶことになります。
また天体写真を撮ることで、肉眼では観望すら危うい星雲や星団を、長時間露出や画像補整画像混合ではっきりと、美しく見る事もできます。星空観望の精粋の愉しみがある天体望遠鏡を使っての星見には、底知れない魅力があるのですが、ここでオススメするのは、まず、よく、繁くに使える望遠鏡です。

お金がそこそこ使える人は、60~80mmクラスの短~中焦点アポクロマート、そうでもない人は、同口径の長焦点アクロマート、もしくは100mmクラスの反射、そしてそれぞれの望遠鏡に見合った架台を用意すれば、かなりの天体を肉眼で観望するに足りるでしょう、赤道儀を追加すれば天体写真にも挑戦可能です。数万~十数万といった予算です。

そこまでお金を掛けられない人は、星の手帖社の組立望遠鏡やコルキットシリーズ+三脚(合計数千円~一万数千円)、或いは、スコープタウンというWebショップのラプトル50(\7,980-)、ラプトル60(\14,980-)、アトラス60(\24,800-)などがイイでしょう。組立望遠鏡やコルキットは簡単な組み立て作業が必要ですが、その簡素な構造と価格からは思いも寄らない見え味でお手軽に使えます、ただし、使い勝手はさほどよくありません。3種類の初心者用天体望遠鏡セットは、上記のような良心的な製品なら、使い勝手もよく、拡張性を求めようとしなければ、充分な見え方です。ただし、お手軽さには劣ります。

もうひとつ大事なのは、天体望遠鏡は、名ばかりの粗悪品が堂々と販売されており、そういった粗悪製品を掴まされることがないようにすることです。販売店がその内容(悪さ加減)について知らずに販売していることもありますし、同一の日本の会社の販売品でも玉石混淆、とことん使えない望遠鏡が高価で販売されていたりもします。

良好な性能の望遠鏡で、条件の良い場所と時間に観望できる、そこからは、双眼鏡による星空観望にはない、深い愉しみが得られます。