中勘助の「銀の匙」を読んですっかりその文章に魅せられ、
図書館で「提婆達多」と「犬」を借りる。
なんだか懐かしい岩波文庫。庶民が安価に古典を読むことができるようになった文庫のはしり。
「デーバダッタ」は「銀の匙」とあまりにも文体が違うので最初とまどったが、
最初のカビラバスツの場面から、見知らぬインドにいるような臨場感に驚く。
仏教のはじまりや、シッダールタとデーバダッタとの関係を
史実や創作を超えて、「人間とは」こういうものかと考えさせられる。
そういう点では「犬」も人間の根源の部分を扱っている。
この本は、図書館の「保存庫」に収められていたものと「閉架」にあったもの。
「区内最後の1冊ではないが、保存したほうがいい」と言う区分になっている。