この本は、12年も前に文庫になったもの。
魚柄仁之助という侍のような名前の作者の実家は、
代々続く古典料理屋である。
赤貧の学生時代、100円の菓子パンより
30円の納豆、50円のニンジン、20円のパンの耳のほうが
栄養バランスがよく病気にならないと、お金の使い方を考える。
でも、ただの倹約家ではなく
時間をかけず安上がり・体調が良く病気にならない・美味しい
ということにこだわって研鑽を積む。
たくさんの買い物をして冷蔵庫で腐らせるなんてもってのほか。
落語に詳しいらしく、「八っつぁんのリストラ」という項などもあり、
大家さんとの会話が面白いし、共感できることがイッパイだった。
「美味しいけれど高く付く、美食は健康をそこねる、
体に良いものは高くてまずい、身体に良くても作るのに時間がかかる、
安上がりだが栄養バランスが悪い、安くてもまずい」
こういうことを認めず、経済的でおいしく体に良いものを
とことん追求している、凄い!